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2022.03.26:最も遠い銀河
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「この小説面白いヨ」と、知り合いから掲題の文庫本を薦められた際、少々戸惑うところが無かった訳でもない。
裏表紙に綴られた物語の概要を見るとどうやらサスペンスもの。
あまり好きではない。
というよりも、小説自体そんなに読む方ではない。
しかも長編で4巻構成。
何だか読むのは大変そうだなと思う。
しかし借り受けた以上、少しは読まねば格好がつかぬ。
で、初巻を数ぺージ捲ってみると知人が薦めてきた理由が即理解できた。
主人公の一人は新進気鋭の建築家。
そして舞台の一つとして北海道の小樽市が描かれる。
これだったら読書家ではない私でも読むのではないかと踏んだのだろう。
とはいえ、基本私は平和主義者(?)なので、この手のジャンルに必須の死んだ殺めた騙されたの類はやはり苦手。
にもかかわらず、なぜか次の展開が気に掛かり、ページを捲る手が止まらない。
そんなに特殊な文体とも思えぬが、かくも読者を引き込むこの文章力は一体何だろう。
移動中の電車の中で読み始めようものなら、乗り越してしまう危険性大。
あるいは勤務中の休憩時間にページを開けば、読む手を止めて業務を再開することは極めて困難かもしれぬ。
ということで、御都合主義の偶然が安易に重なる感が無きにしも非ずのストーリーを一気に読み進めるが、4巻目に入るとさすがに辛くなってくる。
建築家の過去を追う定年退官した元刑事のなりふり構わぬ野次馬根性剥き出しの行動がどうにも鼻に付く。
そうして迎える結末は、結局はこう締め括りますかといったところ。
タイトルのさり気ない回収は良いけれど、しかし如何にもありがちな格好の良い終わらせ方ではないか・・・といった勝手な感想を本を貸してくれた知人にぶつけたら、「ネタバレしないでよ」と突っ込まれた。
アレッ?と思ったら、知人も読んでいる途中で辛くなったらしい。
で、最後まで読んでおりませんでしたと。
建築的な視点で一点。
主人公は、念願であった大規模プロジェクトの設計図書の完成まで漕ぎ着けた。
しかし、設計業務はそれが終わりではない。
例えば、3月13日にこの場に感想を書いた「一級建築士矩子の設計思考」所収のエピソードの中で、駆け出しの頃の矩子に向かって現場監督が以下の様に怒鳴りつける。
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現場を見ろ!
お前らが今までやってたのは空想!
こっからが現実だ!
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やや極端な言いようではあるが、確かに作品造りは図面の中では完結し得ぬ。
現場に入ってから、作品に昇華させるための各種調整・検討が本格化する。
主人公の終盤の選択は、建物の着工前ではなく、竣工・引き渡しに至るまでの職責を全うしてからなされるべくストーリーの時系列が組み立てられればという気がしなくもなかった。
それによって、降りそぼる雨の下、作品が立地する港の灯りを洋上から独り見つめる主人公の建築家としての感慨もより深いものとなったのではないか。
最初に触れた通り、作中には小樽の風景がとてもリアルに描かれる。
少々の土地勘を有する私には、「あの辺りかな」と容易に風景が思い浮かぶ。
そんな描写の挿入が硬質なストーリーを時折和ませた。
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2022.03.17:第97回すまいろんシンポジウム
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一般財団法人住総研主催の掲題のシンポジウムの開催情報を知人から頂いた際に聴講の申し込みを躊躇したのは、15日の14時開始という実施日時のため。
平日昼間開催のイベントは、スケジュール調整が難しい。
どうしたものかと気になりつつ、しかし珍しいことに開催間際になってもその時間帯だけ仕事の予定が入らない。
そして住総研の申し込みサイトを確認すると、まだ参加受付中。
これは申し込めとの啓示かなどと勝手に思い、漸く申し込む。
ところが申し込んだ途端、次々と予定が埋まってしまう流れはよくあること。
こんなものダヨナと思いつつ、救いは予定に入った会議もシンポジウムもどちらもオンライン開催であること。
リアル会議がほぼ消滅し、オンラインによる実施形式が広く一般化。
場所の制約や移動時間から解放された一方、やむを得ず掛け持ちでやりくりする場面も増えた。
好ましいことでは無いが、今回も会議と掛け持ちでのオンライン聴講を決め込む。
とはいえ、自身が主催の会議はさすがに掛け持ち不可能。
あるいは、掛け持ちが通用せぬ打ち合わせもある。
だからシンポジウムも途切れ途切れの聴講となり、話の流れを把握することもなかなか難しい。
開催情報を提供してくれた知人から時折チャットで送られてくる各パネラーの発言のトピックスを頼りに何とか断片的なピースを自分なりに組み立てる(ことが出来たと思っておこう)。
そんな中途半端な状況での聴講だから、ここでコメントを述べるのもどうかとは思うが一点だけ。
ディスカッションの際に提示された、パーツを融通する話は面白いと思った。
つまり、山積する1970年代竣工の住宅ストックの活用に際し、交換が必要なパーツを提供可能な他の既築物件から調達するというもの。
クローズドシステムが前提のメーカー住宅の保全には有効な面もあろう。
いわゆる古民家の再生工事ではその様な流通が既に商売として成り立っている。
即ち、解体される古民家から構造材や建具や板材等を抽出してストック。
必要に応じ、他の古民家再生工事にむけて受発注を行う仕組み。
同じことが成り立つようになると、70年代住宅についても古民家再生と同様の事業スキームが一般化するのかもしれぬ。
但しそれは、住み継ぎたいという意思があってこそ。
シンポジウム冒頭で紹介された中銀カプセルタワービルのカプセル保全にかけるエネルギーやモチベーションの源泉もそこにある。
果たして、70年代住宅を対象にその熱意が普遍的に持ち得るものなのだろうか。
シンポジウムの内容は、同財団の機関誌「すまいろん」に掲載予定とのこと。
機会を見て目を通してみたいと思う。
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2022.03.13:一級建築士矩子の設計思考
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建築を主題にした漫画にはどの様な作品があるか。
知り得る乏しい情報の限りでは、その内容は幾つかに分類できそうだ。
例えば家造り系。
山下和美著の「数寄です!」は、建設系専門図書館の蔵書を借りて通読した。
著者御本人の数寄屋風自邸建設プロセスを綴ったもの。
あるいは不動産系。
読んでいないけれど「正直不動産」などがその例か。
現場系だと「ドトウの笹口組」や「足場やろう」などが思い浮かぶ。
でもって、最近初巻が出版された掲題の作品である。
若くして独立し設計事務所を構えた酒好きの一級建築士、古川矩子が主人公の漫画。
作品の存在を初めて知った際には、建築はオマケみたいなもので飲み歩きがメインの軽い内容なのではないかと勝手に想像。
しかしタイトルにある「設計思考」という言葉が少々気に掛かったので出版社のサイトを見てみると、
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知られざる『一級建築士』の実務が描かれる、
唯一無二のプロフェッショナル物語!!
『一級建築士』『1級建築施工管理技士』
資格を実際に有する著者、魂の会心作!!!
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とあり、関心が湧く。
即ち、専門外の読者に対して如何に判り易く実務について描くのか。
一方、同業者にとって描写内容は格好の考査対象となり得る。
徒や疎かな描き込みは有資格者として恥をかきかねないし、加えて十分に納得させ唸らせる内容も求められる。
一コマとて手が抜けない。
そして双方の読者属性を相手に、漫画作品としての面白さや魅力も与える必要がある。
何とも高いハードル。
高尚なチャレンジではないか。
ということで購読。
設計業務の楽しさや厳しさ、そして業界に付き纏う後ろ暗さや街歩きの極意など、建築に纏わる様々な事柄が各話を通じて丁寧に扱われている。
そして所どころに散りばめられた設計事務所のあるある感。
あるいは一応はその界隈で生計を立てている者の目線において気にならなくもない幾つかの些細なツッコミどころ。
加えて目次ページの演出や、挿入されるコラムのニヤリとさせる内容。
存分に堪能することと相成った。
書籍を手に取られた方は、裏表紙のイラストにも注目だ。
所収の第6話と照査すれば、そこに描かれた駆け出しの頃の何やら感慨深げな矩子の後ろ姿に、同じ想いを共有できる設計者は多い筈。
建築に関する題材は幅広い。
勿論その全てを漫画作品として成立させるのは難しいのかもしれぬが、続刊を楽しみにしたい。
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2022.03.08:羊肉
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孤独のグルメSeason8第11話の再放送を視聴する・・・などと書いても、リアルタイムに御覧になってこられた方々にしてみれば何を今さらということになるのだろう。
否定はしない。
このドラマにハマりだしたのがつい最近であることは、既にこの場で述べている。
過去十年にわたって続編が製作されてきたドラマだから視聴出来ていない回も未だ多数。
有料チャンネル等で過去放送分をイッキ見しても良いのだろうけれども、まぁ急ぐ必要もない。
それに、食をテーマにしているがゆえに、一気に視聴するとそれだけで胃がもたれてしまいそうになる。
全てのエピソードを視ていない中での印象になるが、羊肉料理が登場する回数が意外と少なく無いように思う。
これは個人的にはとても嬉しいこと。
しかも、主人公の五郎さんが、とっても美味しそうにそれらの料理を食べてくれる。
Season8の第11話もジンギスカンの店。
武蔵小杉に立地する「ジンギスカン どぅー」。
視ているうちに食したくなってきて、早速近場のイオンに出向く。
本州では未だ牛や豚や鳥に比べるとさほど一般的ではないために扱われている種類も量も少ないが、それでも身近なところで食材が手に入るようになったことはありがたい。
就職のため北海道から東京に出てきたばかりの頃はどこを探しても見当たらない。
瞬く間に欠乏症に陥ってしまったものだった。
これは何も私だけに限ったことでは無い。
まだインターネットが普及する前のパソコン通信全盛の時代、ニフティサーブ(今のアットニフティ)の北海道関連の情報交換の場(フォーラム)では、道外でジンギスカンが食べられる場所や食材が取り扱われている店の情報が飛び交っていた。
羊肉以外にも、例えばサッポロビールの北海道限定販売ビール「サッポロクラシック」の販売情報などが掲示板上で同列に扱われていた。
ジンギスカンといえばタレが重要であるが、市販のものでなかなか納得のゆくものが無い。
というのも、母方の祖母が作るタレが絶品であったから。
私も、当サイトの「住まいの履歴」のページで紹介している5番目の家に居住中、リンゴや玉葱をすりおろす等、幾度かタレ作りを手伝った。
今思えばレシピをちゃんと記録しておくべきだったと少々後悔。
しかし、羊肉の食し方は何もジンギスカンのみではない。
火を通したものに岩塩を適量まぶして頂くシンプルな食べ方が実は一番美味しいのではないかと今は思う。
ちょっと物足りなければ、マジックソルトでも良い。
同ドラマの別の回では、御徒町の「羊香味坊」が舞台となった。
その回を視聴する少し前に知人に誘われて訪ね、羊料理を大いに堪能した。
再び心置きなく外食が愉しめるようになると良いのだが。
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2022.03.01:メーカー住宅私考_162
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ミサワホーム「太陽の家」46-2Wタイプ俯瞰画像
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前回、「太陽の家」について言及するにあたり、同社における太陽エネルギー利用住宅の先駆であるミサワホームSIII型を引き合いに出した。
しかし、1980年発表のこの先進のモデルと「太陽の家」との連関は、太陽エネルギー利用のみに留まらぬ。
例えば間取りに関し、「太陽の家」の二階建てタイプはSIII型の骨格を踏襲している。
SIII型は、四間四方の総二階という限られたスペースの中で、全ての居室が6帖以上の広さを持つ5LDKを実現した。
極めて効率的なそのプランを可能としたのが階段の絶妙な配置であることは、「住宅メーカーの住宅」に登録しているSIII型のページでも言及している。
「太陽の家」も、階段の位置と、その階段を起点とした諸室の配置がSIII型と同じ組み立てで成り立っている。
二階部分こそ居室は収納家具で仕切った二部屋だが、SIII型と同様の四部屋への細分は造作も無い。
大きな違いは建物そのものの広さと一階南面の広縁の有無。
SIII型が延床面積33坪一タイプに対し、「太陽の家」の二階建てモデルは37坪から46坪までの6タイプを用意。
四間四方への拘りを外し、桁及び張間方向の寸法調整を行うことでSIII型に比してより住みやすく余裕のある屋内空間が確保された。
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42-2Wタイプ平面図
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但し、SIII型が効率性のみを突き詰めた窮屈なものかというと、否。
前回言及した太陽エネルギー利用設備を建物頂部に載冠する与件から編み出された錣屋根形態との相乗を狙ったと思われる内外観への和感の付与。
その一環として、玄関と和室の間仕切り壁に下足入れと書院を積層させた独創的な納まりを採用※1。
限られた広さの玄関に和の情緒を持ち込むと共に、逆勝手ながら書院付きの床の間を有する和室を実現。
更に白木を多用した和の要素で内装を統一し、狭小住宅とは思えぬ情緒を獲得した。
「太陽の家」も、当時同社が商品化した木粉入り樹脂成型材「M-WOOD」を多用し木質感豊かな内観を指向※2したところに共通性を見い出せる。
「太陽の家」は、二階建てモデルとは別に小屋裏三階建て形式のものも用意された。
一階の殆どを多目的用途のピロティ空間とし、居室は二階以上にレイアウト。
二階建てタイプの様な広縁は付かない。
その外観(右画像)及び内観は、同社が1983年10月7日に発売したミサワホーム・ドメイン※3に相通ずる。
設定された二種のモデルが、いずれも同社の初期企画型モデルを継承しているとする見立て。
80年代に夢見られた住まいの思想は、時代の移ろいと共に姿かたちを微細に変容させ、そして目的を変えながら時代を超えて引き継がれた。
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※1:
SIII型の下足入れ。
障子戸の向こう側は和室の書院。
「太陽の家」ではこの独創的な措置は採用せず、正攻法で床の間を纏めた。
※2:
「実現」ではなく「指向」と敢えて表現した。
この内装材についての印象は、当該シリーズの第56回(2015年8月17日)に記した。
※3:
ドメインについては、このシリーズの第138回(2021年2月22日)以降4回に分けて言及した。
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2022.02.22:メーカー住宅私考_161
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1980年にミサワホームが発表したSIII型は、太陽熱利用の温水システムを搭載したモデル。
同モデルの商品開発の過程において、屋根に載せるそのシステムの意匠が問題となった。
集熱パネルを文字通り取って付けたように屋根に載せた住まいを時折見かける。
例えばそれは、いぶし銀に渋く光沢を放つ本瓦が葺かれた本格的な入母屋屋根の表面に、なんの意匠的配慮も無く唐突に載せられている。
そんな安直で無造作な措置など、同社の商品開発陣に許容出来る筈もない。
内橋克人著の「続々続々匠の時代」では、その様子について開発者達のセリフを添えてリアルに詳述している。
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屋根のてっぺんにこんな平ぺったいもの、ポコンと載っけて、そいで南に向けてくれ、だって?
それ、いったい、どうやって意匠になるんだよう?!
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思案の末、方形屋根の頂部に小さな三角屋根を載せ、その部分に全てのシステムを組み込む対処が導き出された※1。
この形態操作により、意匠性と機能性を両立。
錣屋根の様なその形態がもたらす和の情緒によって内外観を統一した画期的なモデルが実現した。
暫し時は流れ、太陽エネルギーを温水の生成のみならず発電にも活用するため、今度は屋根面のより広範に設備を搭載する必要が生じた。
対応として太陽電池モジュール自体が屋根葺材を兼ねる機構を開発。
以降の同社の多くのモデルに採用されるそのシステムを最初に組み込んだのが、1997年4月1日発売の「太陽の家」※2になる。
総二階建てのボリュームに載る切妻屋根の南面全てに太陽電池を設置。
全面に用いられているから、それは屋根材として視認されるし、実際にその機能も担う。
決して、屋根に平ぺったいものをポコンと載っけた印象にはならない。
SIII型とは異なる手法で意匠性に配慮した太陽エネルギー利用住宅を実現した。
それがゆえの「太陽の家」というネーミングには素直に納得できるところ。
しかし、このモデル名称の由来には、別の要素も見い出される。
それが一階南面に大きく張り出す広縁の存在※3。
総二階のボリュームから突出する形で、広縁が下屋として取付く。
その直上は二階のバルコニーとなり、広縁と共に外観意匠の要をなす。
近年の日本の住まいの多くにおいて忘れ去られてしまった感のある伝統的空間装置である広縁。
外部条件に呼応しながら建物内の環境制御を担う屋内外の中間領域が、一階のリビングと和室を繋ぐように南面に配置される。
冬期において、そこは晴天の下でぬくぬくと暖かな室内温熱環境をもたらす。
逆に夏期は強い日射を効果的に制御する。
この環境装置の存在も、「太陽の家」という名を冠する理由に結びつくのではないか。
近年、在宅勤務が増え、通勤時の時間感覚のまま自宅で平日を過ごす機会が多くなった。
すると、住み慣れた、というよりも既に住み飽きつつあった今の住まいにも新たな発見がある。
例えば12時から13時までの昼休みの時間帯。
出勤時は、食後はだいたい昼寝にあてている。
自身の席で、背もたれと肘掛けに深々と身を預け暫し仮眠。
それと同じことを家でも行う。
つまりソファに身を沈め、うたた寝。
その際、窓から差し込む柔らかな日差しが何とも心地よい。
広縁の無い家だけれども、なんだかそこで寛ぐ穏やかなひと時を思わせる。
広縁に佇む魅力。
それと同質の空間を得るための現代の住まいの在りよう。
いまいちど考えてみたい。
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2022.02.15:新建築2022年2月号
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2月号は集合住宅特集。
年二回、同誌が集合住宅特集を組むようになったのはいつ頃からだろう。
その編集方針が定型化されて久しい。
継続して高い頻度で特集を組むに足る建築用途ということか。
集合住宅の特徴として、区分所有法に基づく専用部と共用部の二種の空間が一つの建物内に併存することが挙げられる。
専用部は、それぞれの物件の市場投入目的に基づく子細なマーケティング結果に則り周到に住戸ごとのプランが策定される。
一方共用部は、商品性や近隣競合物件との差別化に向けた価値向上に資する空間として計画される。
新建築の特集で扱われる集合住宅の共用部においては、主に入居者どうしのコミュニティ醸成を促す契機となるよう企図されたものや、周辺環境のコンテクストとの連関を意図した例が多く見受けられる。
その工夫はそれぞれとても興味深い反面、果たしてその意図通りに供用され得るのかと思えてしまうものも散見されなくはない。
しかしいずれも、それぞれの建物の作品としての固有性の表象であり、商品的差別化の一端でもあろう。
今回の事例ではその様な傾向に加え、相続制度と対峙した作品がいずれも興味深い。
例えば、齋藤隆太郎/DOGの「代田の屏風長屋」は、様々な法制度を手掛かりとした形態処理がとっても巧み。
結果として、微細に軸が触れたボリュームが中庭を囲うように連なる群景が、奥性を伴う豊かな佇まいを街並みに提供した。
また、御本人の解説にもある通り、各住戸の居室どうしが界壁を挟んで隣り合う部位が殆ど生じぬブロックプランが生成された。
一部界床を挟んで上下住戸の居室が積層している箇所があるが、木造で成り立つその部位の遮音性能が少々問題にはなろうか。
その点、三井ホーム及び三井ホームデザイン研究所が手掛けた「MOCXION INAGI」は、積層木造集合住宅として、界壁及び界床の遮音性能に明確に触れている。
果たしてRC躯体同等の遮音性能を如何にして獲得しているのか。
その点には大いに興味がわく。
今後の中高層木造集合住宅の普及には必須の技術であろう。
防耐火の観点から木軸による構造体を耐火材で被う、すなわち隠蔽せざるを得ぬ状況で、結局内外装の表層はRCも木造も同質となってしまう。
従って、中高層集合住宅を木造で実施することについては、その目的や意義の明確化も重要となる。
同作品においては、解説の中で環境配慮の観点からそのことについて簡明に述べられた。
別にRC造建物がその構造体の物性を活かした内外装を施している訳ではない。
だから木造だって内外装に木質感を付与する必然などない。
勿論、可能ならばその様な意匠実現の取り組みも求められよう。
しかし一方で、環境配慮、その中でも近年大きな課題として取り上げられている低炭素化に纏わる木造建築の効用についても、より子細な検証が行われるべきなのではないか。
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2022.02.08:フットワークに纏わること
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※1:
上条集落遠望。
正面の中央奥、山間の中腹に目的地が見えた際には、漸く辿り着いたという感慨に湧きましたかね。
もっとも、本文にも書いたけれど、車だったら何ということは無い経路なのだろうけれども。
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建築家・明石信道のことを知ったのは、前々回この場に書いた安与ビルがきっかけであった。
同建物についてこのサイト内にページを作るため休日の早朝に外観の撮影を試みたあと、東京都立中央図書館に移動して氏の作品集を閲覧。
JR御徒町駅前に立地する旧吉池デパートも氏の設計と知り同日早速足を運ぶ。
あるいは、改変著しいながらも銀座に辛うじて現存していた雑居ビルも拝む。
更には次の週の休日、甲府まで出向いて同じく氏の設計である県庁舎や県民会館を訪ねた。
約14年前のことではあるが、随分と活動的というか、フットワークが軽かったなと我ながら思う。
新型コロナ禍の影響もあり、最近はすっかり出不精になってしまった感が無きにしも非ず。
以前(2017年4月5日)この場で引用した荒俣宏著の「江戸の幽明」の中の一節、
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ところが、ほんとうに知らぬ間に還暦を迎えてみると、元気で前向きな老後を送れる体力も気力もなくなっている自分に気がついた。
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という状況が不気味に自身にも迫りつつある様な恐ろしい感覚に捉われる。
閑話休題。
かつて甲府に出向いたのは、明石信道の作品鑑賞のみを目的とした訳では無かった。
「町並み紀行」のページにも登録している、甲州市塩山の上条集落を観に行くことと抱き合わせであった。
塩山駅前でレンタルサイクル利用の手続きをとり、ママチャリ同然の自転車に跨り目的地を目指す。
地図上では自転車で訪ねるのは造作も無い距離と安直に判断していたのだけれども、とんだ誤算。
きつい上り坂のみが延々と続く。
11月下旬の高地は日中でも気温が低かったけれど、それにも関わらず途中で着ていたコートを脱いで前カゴに押し込み、次いでジャケットも脱ぐ。
それでも汗だくになりながら、そして疲労困憊しながら何とか現地に辿り着く※1。
くたびれた風体の部外者の私に、住まわれている方はさぞかし訝しく思われることだろうと思ったら、結構気さくに声を掛けて頂いてありがたかった。
まぁこれも、私が完ぺきなペーパードライバーであるがゆえの余計な労力。
あるいはソコソコ若かったから敢行出来た無茶でもあった。
しかし、車でサッと移動したのでは見逃してしまったであろう佇まいを、目的地を往来する過程で多々愛でる機会を得た。
こうした視覚の享楽に授かる出会いが、車を利用しないメリットであり、余計な労力を相殺して余りある魅力でもある。
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2022.02.01:メーカー住宅私考_160
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※1:
同時期に、横浜と同様に切妻屋根を載せたモデルが千葉総合住宅展示場に、そしてフラットルーフタイプのモデルがTBSハウジング大宮会場に出展された。
※2:
外観
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1980年代、カネボウハウジングはツーバイフォー工法を用いた住宅事業を展開していた。
「ベルビー」や「ロイヤル」といったブランドを擁し、雑誌などで紹介されるモデルハウスの事例は、他社にはない繊細で美しい佇まい。
例えば、「ツインルーフの家」と名付けられた新宿区内の住宅展示場出展モデルでは、内外観にミントグリーン系の爽やかなカラースキームを導入。
そのセンスは鐘紡ならではなのだろうなと、当時は思ったものだった。
近年になってハウスメーカーへの関心の対象が70年代、そして60年代へと遡る中で、同社の動向について二つの点で驚いた。
一つは、同社が事業を始めた当初はユニット工法の住宅を発表していたこと。
ツーバイフォー工法で繊細な住宅を発表していたメーカーという印象が強かったので、それに先行して当時先進の工業化工法を用いた商品開発を行っていたことが意外に思えた。
二つ目は、内外観共に当時のユニット工法に見受けられた無機質感が殆ど無かったこと。
発売開始時に横浜市内の住宅展示場「TVKハウジングプラザ横浜」に出展されたモデルなどは、その良い例※1。
一階は軒の出幅を豊かにとったフラットルーフが水平性を強調し外観に安定感を付与。
その上にゆったりと切妻屋根を被せた二階が積層する構成からは、他社事例に見受けられた機械的な雰囲気は殆ど読み取れぬ※2。
平面プランも、工場で生産したルームユニットを現場に輸送する際に必要となる道路交通法に対応したモジュールを用いつつ、それによって生じる慣例的な尺モジュールとの齟齬を感じさせぬ組み立て。
やや大味な点も散見されるが、同工法を用いた他社モデルに見受けられるいびつな措置はそこには無い。
軽量鉄骨軸工法や木質パネル工法等が用いられた商品に比してそれほど遜色の無い内外観を実現していた。
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平面図
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同社は1974年7月10日に設立。
1975年6月、首都圏を中心にユニット工法を用いた「カネボウハウス」で事業を始めた。
その後、1977年にツーバイフォー工法による商品開発に着手。
次第に後者へと事業内容が移行する。
この流れは、往時のユニット工法を採用した多くのメーカーにも見受けられた。
即ち、先駆メーカーである積水化学工業の「セキスイハイム」の成功を機に異業種を含め様々なメーカーが参入。
しかし早々に事業撤退かオープン化されて間もないツーバイフォー工法に活路を求めた事業転換が図られる経緯。
その背景としては二点が挙げられている。
一つは、同工法特有の生産ライン確立に係る大掛かりな設備投資の必要性。
そしてもう一つは、オイルショックによる住宅市場縮小の影響。
そんな中で、積水化学工業がトップランナーのまま事業を継続し今に至る事由は、興味深い検証対象だ。
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2022.01.26:安与ビル
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「安与ビル」が登録有形文化財に登録されたことを知る。
この建物について「建築探訪」のページで言及しようと思いついたのは、2007年11月頃。
改めて建物を眺めるべく現地に向かったが、その時は生憎の逆光。
凹凸のメリハリを特徴とするその外観を撮影するならば順光の方が好ましいし、そのためには建物の方位的に早朝に訪ねるべきと判断。
休日の朝、気合を入れて再訪すると、今度は周囲の建物が朝日を遮ってしまい建物は影に覆われた状況。
仕方が無いので、光が当たるであろう時間帯に見当をつけ暫し周囲を散策することに。
晩秋の透徹な朝日に鋭利な陰翳を刻む紀伊国屋書店新宿店や、鈍い光沢を撥ね返す弟三スカイビル等、日中に目にする際とは雰囲気をやや異にする個々の建物の風貌を堪能し、あるいは夜通し蕩尽にまみれた歓楽街の気怠い朝の様相などを眺めながら辺りを徘徊。
そんなプロセスを経て撮った画像を用いてページを作成したが、実は夜景も魅力的であることを後に知る。
各層、角度を振れながら積層する竪繁格子の如き鋼製ルーバーの連なりから滲む仄かな建築照明が織り成す塔状の光の景は、日中のそれとは異なる美しさ。
新宿駅東口駅前広場の喧噪の中に、上質な彩りを添えている。
当該建物一階のエントランスロビーに、川端康成の書が掲げられている。
そこには、
とある。
建物への想いを著名人に託し、その書を建物の入り口に掲げる。
建物に対するそんな愛着や誇りが、登録有形文化財への登録に繋がったのであろう。
所有者の意思によって、古建築のみならず近現代の秀逸な建物が文化財として保全されてゆくことはとても意義深い。
今回の新規登録建造物のリストの中には、「銀座ライオンビル」の名もある。
末永く維持されてほしいビヤホールの傑作だと思う。
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2022.01.20:メーカー住宅私考_159
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昭和50年代のミサワホームの企画住宅には、共通して鳥の形象が意匠に組み込まれていた。
例えば、玄関のポーチライト。
そして、二階の和室に用いられる窓手摺が挙げられる。
ポーチライトの方は、それぞれの企画住宅の型式を示すアルファベットを図案化したブラケット照明の上に鳥が乗るデザイン。
型式のモデルチェンジや仕様によって、鳥の数が変わる。
最初は、モデルチェンジのたびにその数が増えた。
しかしそれでは乗せる鳥がどんどん増えてしまい、後年のバージョンになるほどアップヘビーなデザインとなってしまう。
私が確認した事例の中で最も多いのは四羽。
ミサワホームOIII型のエクストラ仕様に用いられたものになる※1。
デザイン的にはこれが限度であろう。
そのためか、いつしかモデルのバージョンではなく仕様のグレードに応じて数を対応させる運用に変わった様だ。
モデルによってその運用は異なるので、それのみでバージョンや仕様を判別することは私には出来ない。
但し、数が増えるほどバージョンが新しい、若しくはグレードが高いことになる。
従って、ポーチライトと他の要素を照合することで外観目視によるバージョンの判別が概ね可能となる。
窓手摺の方は、アルミサッシと内障子の間に板一枚を開口幅いっぱいに掛け渡した板材に透かしで入れられたもの※2。
その形状はtwitterのロゴマークを想起させようか。
採用期間は特定し切れていないが、中古物件の事例を見る限り例えばミサワホームO型の場合は少なくとも古くはOII型、そして幾度かのモデルチェンジを経たチャイルダーO2でも同様の手摺が確認される。
他に、直接若しくは間接的に鳥をデザインに組み込んだ共通部材はあったのだろうか。
あるいは、なぜ鳥だったのだろうか。
その辺りのことは判らぬ。
モチーフと言えば、これも企画住宅シリーズの途中から、和室の引戸に桂離宮の月の字引手の写しが一部のモデルに用いられるようになった。
ほかにも往時の各モデルの内外観画像を子細に眺めれば、当時の同社のデザイナー達の小粋な遊びがいろいろと発見出来るのかもしれない。
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2022.01.13:住み継がれる家
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この場や、あるいは「徘徊と日常」のページに何度か書き込んできた知り合いの実家のリフォーム工事が(概ね)完了した。
プランの打合せや着工後の様子を見に何度か現場にお邪魔したが、それは勿論リフォーム前後の変化への関心。
しかしそれ以上に、対象建物が昭和50年代に建てられた積水ハウスの2BK型であり、しかも竣工時の様態が良好に保全されていたことが、訪問動機としては強かった。
あるいは知人も、そんな私の趣味嗜好を判ったうえで訪問を快諾してくれていた。
当時のスタンダードな事例の現況の確認、そして工事着手後は内外装材撤去後の構造体や下地材の状況などをつぶさに観察出来る絶好の機会。
だから、それらが露わになった室内外で、同社独自のディテールとして構造材に仕込まれる「オメガボルト」の設置状況を目視し、あるいは取り外されて庭先に積まれた外装パネルの触感や重量を確認する等、一人で大いに盛り上がる。
ちなみに、外装材に用いられていた同社独自のアルミ鋼板パネルは、内部に断熱材を充填することで高い省エネ性を謳っていた。
しかしその断熱材は今現在の感覚からすると思いのほか薄く、温熱環境確保というよりもフラッシュパネルの芯材的な位置付けに見える。
ということで、改修現場ゆえに確認可能な仕様やディテールをつぶさに目視出来たことはとても有意義であった。
加えて隣地にはミサワホームのSMART STYLEの最初期モデルが建っていて、その外観も堪能できる好立地。
訪ねるたびに存分に楽しませて頂いた。
リフォームといっても、某民放番組の様に派手に取り壊して、ゼロに近い状態から作り直すというものではない。
残せる既存箇所は可能な限り活かしながら、想定される生活様態や要求性能に応じた必要な改修を行う。
だから、新旧の齟齬や取り合い箇所を如何に巧く調整するかが課題となる。
従って、工事完了までの各プロセスは新築とは異なる苦労が結構あった様だ。
そうして完了したリフォーム後の出来姿は、決断して良かったネと素直に言える内容。
以前(2021年6月29日)この場で述べた、間仕切り壁の位置変更に伴い露出する構造柱も、うまく処理してLDK内の求心的な意匠となった。
知人はこれを機に今まで住んでいた集合住宅を引き払い、実家に移り住む予定だという。
きっと快適な生活が送れることと思う。
と同時に、両親が建てて本人も思い入れのある住まいがこの様にして住み継がれるのはとても素晴らしいことだとも思う。
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2022.01.07:【書籍】始祖鳥化石の謎
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先月のことになるが、日本テレビ系列で放映されている「ルパン三世part6」の第10話「ダーウィンの鳥」を視聴した。
30分枠の約半分が始祖鳥の化石に纏わる蘊蓄に終始。
ストーリーが全くといって良いほど動かぬ異色の構成は、この回の脚本を担当した押井守ならでは。
このあたりは既に様式美と捉えて良いのだろう。
ただ、それでも全く飽きさせることなく、むしろ視聴する者をぐいぐい引き込みながら後半思いもよらぬ展開で一気にストーリーをまとめあげる手腕は流石。
なかなかに楽しめた。
そんな作品を眺めている途上。掲題の書籍が実家にあったことをふと思い出した。
で、年末年始の帰省時に書棚から取り出してみる。
目を通すと、第10話の元ネタはこれか?と思えるような記述が並ぶ。
件の化石の真贋を巡り、図版を豊富に用いながら検証が試みられている。
但しその論調は冒頭からそれを捏造されたものと決めつけたやや攻撃的なもの。
ゆえに、どんなに言説を連ねられても、結局のところは著者が文中で指摘する
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・・・このような証明がないために、生物学者は証拠の代わりに信念を押しつけているのであり・・・
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と、何ら変わらぬことに著者自身も手を染めているだけという印象しか持てぬ。
著者もまた、自身の“信念”に基づく解析を試みている訳である。
そういえば、「ルパン三世part6」の中でも、峰不二子に仕事を依頼したミカエルが蘊蓄の披露のさなか、上記引用と似たことを述べている。
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事実の証明が困難な時、当時の学会では証拠の代わりに信念を押し付けた。
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さらには、
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果てしない時間を相手に証明を試みるには、人間の命数はあまりにも短いのでね。
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とも述べている。
有史以来の人類の歴史すら謎だらけで諸説が入り乱れている。
それどころか近現代史だって、真相が闇に葬られた事象には事欠かぬ。
しかし、義務教育時代に授業で教わった事々に全く異なる価値判断もあるのだという知見を得る機会は、決して無駄ではなかろう。
共著者のひとり、フレッド・ホイルは、「暗黒星雲」等のSF作品も発表していると巻末のプロフィールにある。
機会あらば読んでみようか。
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2022.01.03:近傍徘徊
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年末年始は北海道の実家で過ごす。
昨年11月にも帰っているので久々という訳でもないが、降雪期の帰省は二年ぶり。
既に、雪が降らない地域に住んでいる期間の方が積雪地域に住んでいた年数より長くなって久しい。
にも関わらず、日常生活に雪のない冬はどこか実感がわかぬ。
晩秋のまま、冬が訪れることもなくいつの間にか春になってしまう印象。
日々目にする風景の中に雪があり、あるいはその雪を踏みしめて漸く冬の季節を実感する感覚は未だに抜けないし、恐らくこれからも変わることは無いのだろう。
ということで晴れ間は家の周りを気儘に散策。
降雪時には、家の中から刻々変わる雪模様を楽しみつつ読書などに耽りながら、冬を実感する。
実家は、1960年代に造成が進められた大規模な住宅地内にある。
従って、約半世紀強の間の様々な様式の住宅が纏まって軒を連ねているため散策の視覚を飽きさせない。
例えば土地の分譲が始まって間もない頃に建てられたのであろうハウスメーカーの住宅。
外観目視からメーカーの特定がある程度可能なそれらの事例は、建設時の様態を良好に保全するものや大胆にリフォームが施され痕跡をわずかに留めるもの等、状況は様々。
中には別のメーカーの最新のモデルへと建て替えられたものも見受けられる。
そんな変容を確認しながら気の向くままに歩を進めるのはなかなか楽しい。
あるいは、「住宅メーカーの住宅」のページにも載せている通称「三角屋根」の事例。
こちらもハウスメーカーのそれと同様の状況が確認される。
増改築によって三角屋根転じて複雑な変形屋根と化した事例などは、その変容プロセスを想像してみることも楽しい。
更には、旧態を活かしつつセンス良くリニューアルされた事例も、デザインの参考になる。
それ以外にも、道内著名建築家の作品や謎めいたセルフビルドっぽい事例等々、いわば現代住宅の博物館状態の住宅地内を徘徊する際の脳内音楽は、ドラマ「孤独のグルメ」の劇伴に用いられる「still alone」。
各話の冒頭、主人公が訪問先に向かうために最寄り駅から出てくるシーンでよく使われる曲。
歩くテンポに寄り添う穏やかな曲調がなんとも心地良い。
ということで年末年始の特番や過去放映分一挙再放送も何となく視聴しつつ、まったりと休暇を過ごした。
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