日本の佇まい
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徘徊と日常
2023.09−2023.12
2023.12.29
階段に纏わる小さな備忘録
昨今、表層に外部階段を迷路の如く各フロアに巡らす事例を時折見掛ける。
それは、容積取りの過程で中途半端となった残余のボリュームを階段に充てた結果か。 はたまた基準階の要素を表層から排除する方策か。
ともあれそうして形作られた階段は、眺望も含めフロア移動を楽しいものとするのだろう。 空調で制御され外部から隔絶した屋内に滞在する人にとっては、外気や外光に接する良い機会にもなろう。
2023.12.23
スクラップ帳のナカミ
年末の大掃除を思い立ち、手始めに押入の中の整理に着手したらスクラップ帳に目が留まる。
画像はその中に保管している三井ホームの新聞広告。 裏面の記事を確認すると、1984年3月上旬のもの。 細密な手描きによる外観パースは、当時の住宅広告の定番。 そこには、昨今のリアルなCGには無い味わいと人を惹き付ける魅力がある。
こうして過去の切り抜きを眺めているうちに一日が終わってしまった。
2023.12.17
古河スポーツフォーラム
エクスナレッジ社から出版されている「ポストモダン建築巡礼」に「社会との格闘が生んだ緊張感。これほど面白い時代はない」と題する隈研吾と磯達雄の特別対談が収録されている。
1991年3月竣工のこの作品からも、そんな時代の熱気が伝わってくる。
2023.12.09
店舗表示の可能性
T字路に面する角地。 目に留まり易いその立地を活かした壁画が店の用途を容易にイメージさせると共に、歓楽街に彩りを添える。
ALCにヘッドカット仕上げの吹付けタイルが施された外表面に描かれているため、パネルがロッキングした際の影響が少々気掛かり。 一方、地域柄設置された雁木によって雨や紫外線等に起因する劣化の進行はある程度抑制されよう。
2023.12.02
秋の夜長に
「スターハウス 戦後昭和の団地遺産」を図書館で借りて読む。
雛型に則りつつ、地域性を含め多彩な展開が図られていた史実。 あるいは修繕や増改築等の実施状況。 そして建て替え等によって近年急速にその数を減らしている実態。
当該住棟形式に対し怒涛の如く繰り広げられる言説を、貴重な図版と共に愉しむ。
右の画像は日本住宅公団原宿団地内のスターハウス。
同書籍によると、建築年は1957年2月。 型式は、55-5P-2DK-2
2023.11.25
看板のある風景
民家の壁面に掲げられたミサワホームの看板。
描かれた外観パースから、それが昭和40年代半ばに設置されたものであることは明らか。 褪色具合が、その事実を補強する。 私が出会うまでの数十年間、風雨に晒されながらもよくぞ物理存在してくれた。 そんな感情が素直に湧く。 そしてもしも取り外すことがあれば譲り受けたいという淡い想い。 しかし最近現地を確認してみたら、建物ごと除却。 更地が空しく広がっていた。 産廃とお宝の境界とは?
2023.11.19
階段に纏わる小さな備忘録
同窓会出席のため、久々に以前住んでいた街へ。
駅前の変貌ぶりに戸惑いを覚えながら徘徊するその足が、何の変哲もない階段の前でフと止まる。 手摺も踏面の床材も、そしてささら天端のテラゾーも、昔と変わらぬ設え。
想い出の部類に属する佇まいの物理存在を愛でながら勝手知ったるかつての居住地を巡ること。 遠隔地の同窓会に出席する愉しみは、そんなところにもある。
2023.11.10
階段に纏わる小さな備忘録
日本住宅公団が建てたスターハウスの内部階段。
踊り場部分の外部開口がピクチャーウィンドウの如く紅葉を美しく切り取り、昇降時の視覚を潤す。
この住棟形式を策定した設計者達や、団地内の配棟及び緑化計画に携わった担当者達は、ささやかながらも豊かな半世紀後のこの風景を当初から想い描いていたのだろうか。
2023.11.03
根岸森林公園
園内の片隅に敷物を広げ、秋空を仰ぎながら祝日の午後をゆっくりと過ごす。 勿論、旧根岸競馬場一等馬見所も堪能。
2023.10.27
KING∞XMHU
竣工:
1991年3月

所在地:
北海道札幌市中央区
南7条西4丁目
設計:
ビーエックス設計

施工:
地崎工業
好みとは関係なくカメラを向けたくなる建物の多くは、意匠への強固な意志や目的が内外観に顕著に表出している。 そんな建物の散在が、都市の風景に厚みを醸す。
札幌市のすすきのエリアに立地するこのダンスクラブも、その事例に該当しよう。 築三十年余を経てなお、異形の強度は周囲を圧倒して臨在するかの如し。 しかし既に営業は終了。 異種用途への建て替え計画が公表された。
2023.10.21
秋空
竹山聖の著書のタイトル、「ぼんやり空でも眺めてみようか」を想い起しながら、ぼんやりと誰そ彼時の秋空を見上げる。
2023.10.13
階段に纏わる小さな備忘録
姫路市の手柄山中央公園内に立地する手柄山公園回転展望台(2018年3月閉鎖)。
その最上層には、床がゆっくりと回転し全周の風景を堪能できる展望レストラン。 その施設への昇降には、通常は建物中央の円筒形のボリューム内に納められたエレベーターを用いる。 しかしそのエレベーターシャフトの外周を巡る螺旋階段を利用するのもなかなか楽しい空間体験であった。
2023.10.05
梱包による店構え
建物の修繕工事に伴い店先が足場で“梱包”され、そこに新たなエントランスが設えられた。
仮囲いに掲げられた店舗表示と相まって、不可視の奥へと誘う期間限定の構え。
2023.09.30
書棚のナカミ
9月27日の雑記帳でも触れた図書館除籍本。 1991年にニューハウス出版から発刊された「HOME MAKE本物志向の住まい」。 内容は全てミサワホーム。 一つボタンのスーツに拘る創業者の美学について解説したページが興味深い。
2023.09.24
パブリックアートへの指向
事務所ビルの接地階。 前面道路に向けてピロティを設け、三台分の駐車スペースを確保している。 車室背後の三連のコンクリート製立ち上がりは、機能としては車止め。 しかしその配置や形状には、車室脇のエントランスアプローチを往来する際の視線へのさり気ない配慮が見受けられる。
2023.09.18
梱包的な状況に向けて
地下鉄駅構内の壁面改修工事で新たに取り付けられた仕上げ材。
表面に張られたままの養生シートに印字された製品名称や取り扱い説明の文字列が、仕上げ材そのものとは異なる表情を醸す。 表層が覆われることで本来のマテリアルが閉ざされている状態は、一種の梱包。
完工前には剥がされる期間限定のその状況を眺めつつ電車の到着を待つ。
2023.09.09
階段に纏わる小さな備忘録
千葉県文化会館大ホールホワイエ部分の階段に設置された歩行補助手摺。 その端部に施された過剰な曲線は、安全配慮か。 それとも優美さの表現か。 非日常へと来訪者を誘う設えが、そのディテールに宿る。
所在地:
千葉県千葉市
中央区市場町11-2

竣工:
1967年2月

設計:
大高正人
2023.09.02
店舗表示の可能性
長屋を三棟並列配置し、それぞれの接道側妻壁に店舗名を真っ赤な箱文字で分割表示。 等しく廻された上端のボーダーと相まって一体の商業施設であることが分かり易く表現されると共に個性と存在感も獲得されている。
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