床レベルを接地階よりも少し持ち上げたリビングを持つこの住宅の名称は、「ハイリビング」※1。 ミサワホームが1970年に発表した。 スキップフロアの導入によって日常動線における昇降頻度が高まる。 ならば、その昇降を如何に楽しいものとし、且つ意匠的な魅力を付与して商品性を高めるのか。 そんな与件に美しく応えた事例。 オブジェとして扱われた段床の白と、その周囲に張られた黒タイルのコントランストも良い。
※1:住宅メーカーの住宅に登録している当該モデルのページ参照
旧江別市立江別第三小学校の円形校舎中央に据えられた螺旋階段。 坂本鹿名夫の設計により1950年代から60年代を中心に各地に建てられた円形校舎はいずれも同じように階段を据え、その周りに廊下と教室が同心円状に配された※1。 職員の方の話では、螺旋階段は昇り専用。 降りる際は別途設けられている矩折階段を使う規則だったのだそうだ。 上昇時に回転を伴いながらめくるめくように展開する空間の広がりが視覚の享楽として体感される。 そんな求心的設備の存在と日常的な使用体験は、卒業生及び当時の在校生にとってかけがえのないものとして建物が除却されてもなお永遠に記憶され続けるのであろう。
※1:建築探訪に登録している室蘭市立絵鞆小学校のページ参照