日本の佇まい
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徘徊と日常
2015.10−2015.12
2015.12.20:
先月の新潟県内建築行脚の中から、柏崎市香積寺の山門。
ピンクグレーに彩色されたRC造のラーメンフレーム。 一階部分は、その柱梁の内側をガラス張りとし、金剛力士像のショーケースに。 そして二階は淡いオレンジ色に塗装されたALCパネルを嵌め込んでいる。 二階外周はコンクリートのキャンティスラブを廻し、鋼製の簡素な欄干を設置。 その上部に平行垂木を用いた伝統的な木割に則る木造瓦葺の屋根が載冠。
この現代の折衷様とも言うべき様態は、如何なる経緯と意図の下で建てられたものなのだろう。
2015.12.13:
大丸心斎橋店の本館が建て替えのため12月30日をもって一旦閉店する。 その前にもう一度観ておこうと思い現地へ。 ヴォーリズよる壮麗な内外観意匠を久々に堪能した。
といっても、改めて眺める内観は度重なる模様替えによって中途半端な雰囲気になっている感が無きにしも非ず。 商業施設という用途上、リセットはやむを得ぬ決断といったところか。 既存の外表や内観の一部は保全されるらしいが、果たしてそれらを活かしつつどのような建物へと生まれ変わるのだろう。
同店舗七階催事場にて「大丸心斎橋店回顧展」が開催中。 ヴォーリズ事務所の原図や模型も展示されている。

大丸心斎橋店回顧展
会期:
2015年12月2日〜
2015年12月30日

於:
大丸心斎橋店
(大阪市中央区
心斎橋筋1-7-1)
2015.12.09:
以前はコーナー柱の上に「たばこ」の赤い看板が掛かっていたのに、改めて撮影に行ったら滅失していた。 店そのものも営業をやめてしまって暫く経つ様だ。 窓越しに屋内を観ると、カートン売りの箱が幾つか無造作に転がっていた。
正面の引き違い窓の外側から見て向かって右側の下段に、引き込み形式の小窓が組み込まれている。 厳冬期に、ここのみを開閉して売買を行うことで室内への冷気の流入を最小限に留める工夫。 酒屋に併設された北国ならではのタバコ屋のカウンターだ。

2015.11.30:
登録有形文化財に登録されている旧羽室家住宅の敷地内に大和ハウス工業のミゼットハウスが現存・公開されていることを知り、豊中市へ。
母屋の裏手に、それはひっそりと建っていた。 1961年頃に子供部屋として建てられたものを、近年になって大和ハウス工業の協力のもとオリジナルの部材を極力活かして修復したのだそうだ。 そのことを解説したプレートが、市の教育委員会によって傍らに設置されている。
日本の工業化住宅の黎明期における僅か三坪のプレハブ小屋が、登録有形文化財と共にこの様な形で保全されるというのは有意なことだ。 暫しその場に佇み、往時の技術者達の果敢な創意の熱気に感じ入った。

2015.11.23:
21日と22日の二日間、新潟県内を建築行脚。 その途上、越後線の車窓からの眺め。
終日曇りの筈の予報が外れ、徐々に天候が回復。 穏やかな秋晴れの下、収穫を終えた田んぼの風景がのどかに広がる。 そしてその背後にたなびく霞みの中に、弥彦山の稜線が悠然と浮かぶ。
あわよくば「はざ木」が連なる風景をと思ったが、車窓からの目視の範囲においては確認することは叶わなかった。
2015.11.15:
首都圏外郭放水路。 普段は見学に予約を要する同施設が年に一度一般公開される「特別見学会」に合わせ現地に向かった。
写真は、この洪水対策施設の一部に当たる調圧水槽という場所。 「地下神殿」とも称せられる壮大な空間の圧倒的なスケールと強靭な造形を前に、暫し言葉を失う。

2015.11.09:
かつて北海道の日本海沿岸の漁村を歩いて巡っていた際に撮った写真。
水産加工場であった様に記憶しているが、煙突が並ぶ様態を観た瞬間、この場にも9月29日に載せている「仁科歯科医院 ARK」を連想し思わずカメラを向けた。 偶然だが、その本数はARKの南側立面に屹立するトップライトの数と同じ。
ARKに関し、設計者の高松伸はその作品集「GA ARCHITECT9」の中で「形の力学」という言葉を用いて解説している。 この言葉を援用するならば、屋内に組まれている製造工程がそのまま顕れ建築化されたのであろうこの煙突の並びはさしずめ「生産の力学」ということにでもなろうか。
2015.10.28:
知人が御自身のブログに上越妙高駅前に立つ上杉謙信の像を撮った写真を掲載していた。 普通に撮るならば駅舎を背にして撮るべきアングルを、ついつい反対側から、つまり駅舎が背景として映るように撮ってしまうというコメントを添えている。
そういえばそんな写真を私も数ヶ月前に撮っていたナと思い出し、ここに載せてみた。 岡山駅前。 当然、像は桃太郎。 この手の具象的な像に関心はない。 しかし、向かって左側の肩に乗る雉(これは像の一部)と逆側の肩や頭上にとまって羽を休める本物の鳩の取り合わせが少し微笑ましく思え、カメラを向けた。
2015.10.17:
疾走する車からの視線に留まる強烈なインパクトを持ち得ること。 そして、沿道に並ぶ同種の施設群の中に埋没することなく突出して目立つ存在であるべく完膚無き異化が図られていること。 確実な集客のためにロードサイド店舗に課せられるこれらの命題を事業収支の枠組みの中で徹底した低予算で実現すべく、道路側の外観はいきおい壮大なキッチュへと突き進む。
こうして形成され、あるいは変容し続ける郊外路線商業地の行き付く先の風景は、果たして如何なるものであろう。
2015.10.12:
鑑賞目的で幾度か訪ねている北海道内の某公営住宅団地が建替えのために除却されることとなった。
これが見納めになるのであろうと思い、雨が降り出しそうな重々しい曇り空の下、同地に赴く。 そして、無人と化した住棟が建ち並ぶ団地内をゆっくりと徘徊する。
とある住棟の真正面に立った瞬間、空を覆う雲の切れ目から落陽が差し込み、立面を神々しく荘厳した。 自らの境遇を悟ったその住棟が、自身の最期を美しく演出しようと画策したのか。 否、勿論そんな筈は無い。単なる偶然だ。
しかし同じ鑑賞対象が、光や大気等の気象の加減、そして観る者の心境によって全く異なる表情を見せる。 そんなことを改めて体感するひと時となった。
2015.10.04:
築120年強となる民家の基本調査手伝いのため、二日間山梨へ。 かつて県内の二つのエリアでそれぞれ用いられた相異なる様式が折衷した興味深い事例であった。
調査には、移築再生を決断し新たな所有者となる施主も参加。 建物に注ぐ深い愛着に家造りの理想を垣間見た。
帰り際、建物を譲り渡す現所有者の方から見事なミョウガを大量に頂く。 今は、これらをどうやって食そうか思案中だ。

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