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町並み紀行
小須戸
場所:
新潟県新潟市
秋葉区小須戸

写真1:

※1
青森県黒石市のページに載せている写真2の「中村亀吉酒造店」の画像参照。
柱間に建具をを入れて、雁木を屋内化している。

別項の長岡市袋町見附市本町等と同じ、雁木が連なる町並みである。
これら二つの町並みと少々異なるのは、屋根形状が平入りと妻入の住宅が混在していること。 そして、多くの雁木が軒先を鋼製の柱とトラスで支持していることだ。

この様な木と鉄のハイブリッド構造による雁木は、単体での散在は、確認することが出来る。
しかし、共通のディテールにより、町並み全体にわたって連なる光景には初めて出会った。 雁木のある町並みを多く見ている訳ではないので判断できないが、小須戸独自のことであるならば、面白い。
個々の雁木は、その高さも屋根材もまちまちだ。 ところが、この軒先の共通ディテールにより、町並みに独特な雰囲気が形成されている。
また、この構造の採用により、支柱間隔が広くなっている。 各住戸の間口分をスパンとしているものが殆どで、間口が広い場合は、その間に何本か支柱を設置している。
通常の木造の雁木の場合、一間幅ごとに柱が入る場合が多い。 これは、構造的な意味の他に、その柱の間に建具などを嵌め込むことで雁木下の空間を屋内化し、積雪期の通路を確保する機能的意味合いも持っている※1
しかし、ここではその機能は省略され、そのかわりに、開放的な軒下空間が形成されている。


写真2:
格子や瓦屋根といった伝統的なディテールの間に、鋼製のトラスが通る。

写真3:
交差点に面した雁木の端部。道路の隅切りに対応して円形に納め、トラスもその曲率に合わせている。
雁木の中を通ると、それぞれの家に見受けられる昔ながらの木製竪格子と軒先の鋼製フレームの取り合わせの妙が愉しめる。 恐らくこれは、この街路における雁木成立期からのオリジナルでは無く、後の改修によるものであろう。 その際に、共有ディテールに統一すべく、一気に改修が行われたのであろうか。
いつ、どの様な経緯で施されるに至ったのかを知る手立ては、今のところ無い。


INDEXに戻る 2010.12.25/記