日本の佇まい
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町並み紀行
長岡市袋町
場所:
新潟県長岡市
袋町

写真1:

※1

写真4
雁木の内部

長岡駅の大手口広場から北の方向に数分歩くと、交差点を境に道路の幅が狭まり、両脇の歩道に雁木を設けた民家が連なる一帯が見えてくる。
雁木とは、別項の青森県黒石市で紹介した「こみせ」と同じ機能を持つ都市装置だ。

市街中心部からさほど離れていない場所に、この雁木が連続する風景が残っていることがうれしい。
雁木は高さがまちまちであり、各家ごとに設置したものであることが判る。 また、建て替えを行った住宅の中には、二階を歩道上にオーバーハングした事例(写真2)もあるが、これは雁木部分が民地であることの顕れであろう。
家々の多くは木造切妻屋根の妻入り住戸であるが、看板建築的な改修が施されたものや、鉄筋コンクリート造に建て替えられたもの、あるいは除却され更地となり歯抜けになった箇所等が散見される(写真3)。 時代の流れの中で、雁木の連続性や町並みの統一感は失われつつあるが、一方で観光スポットとして妙に造り込まれていない自然な佇まいがある。



写真2:
右手の白い建物は、二階を前面にオーバーハングさせて歩道を覆っていることが判る。
写真3:
かつては全てが右から四番目の家の様な切妻の妻入りの形式だったのであろう。
長岡市の駅前のメインストリートである大手通沿いとその周辺は、雁木を発展させたアーケードが連なる。 かつて、その高さは建物の一階分であった。 それが今では全てが建て替えられて二階建て分の高さになっている。 降雪期の雪の吹き込みに対しては不利な面もあろうが、開放感が広がり、街の雰囲気は心持ち明るくなった。
一方で、袋町界隈に残る旧来の雁木は、身体にやさしく寄り添うような心地よいスケール感がある※1
どちらも雪国の佇まいとして、機能的にも情緒的にも欠かせぬ都市装置であると言えよう。


INDEXに戻る 2010.04.03/記