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住宅メーカーの住宅
不可解なモデル.03:ミサワホームM型2リビング
ここで取り上げるのはミサワホームM型2リビング。
となると、既にこの「住宅メーカーの住宅」のページ内で、個性的な優れたモデルとして紹介しているではないか、ということになる。
その通り。
しかし、このモデルには二つの形式があったのだ。 一つが、名称にもある通り、異なる性格を持つ二つのリビングを並置したもの。 別途、既に紹介している形式は、こちらの方。
そしてもう一つが、インナーガレージを有するタイプ。 便宜上、前者を「2リビングタイプ」、後者を「ガレージタイプ」とする。
今回のネタは、ガレージタイプの方だ。

写真1:外観*1

図面1:平面図*1(M2L-36-2W-Bタイプ)

写真2:内観*1
手前がリビング。奥にダイニングスペース。
左手のレンガ積みの壁(恐らく、オプション)の背後がキッチンになっている。
大雑把に言えば、2リビングタイプの北側のLDK部分をガレージにしたモデルということになる。 だから、「2リビング」と呼称しながら、実はリビングは一つしかない。 その点からして既に不可解な存在だ。
で、ガレージに取って代えられた北側のLDKは、南側のもう一つのリビング部分に形を変えて移動。 結果として、極めてタイトなLDKとなった。 特にキッチンは窮屈だ。 その奥行きは4.5尺しかない。 これだと、キッチンセットを配置したら、あとは作業スペースを確保するのがやっと。 通常であれば、キッチンに必要なカップボードを置くスペースを取りようが無い。 しかし図面を見ると、背面の壁にへばり付くように奥行きが極めて浅いカップボードが無理やり造り付けられている。
収容力はあまり望めぬ。 そのためか、ダイニング側にもカップボードを想定した収納ユニットのオプションが設定されている。 そのダイニングも短辺が7.5尺だから少々狭い。

しかし、強引さはここだけに留まらぬ。
キッチンの背後に出入り口があり、勝手口の土間へと続いている。 そしてその土間の向こう側に、洗面化粧室への出入り口がある。 つまり、サニタリーゾーンに行くためには、勝手口の土間に下りる必要があるのだ。
恐らくこれは階高設定と絡んでいるのだろう。 一階の北側は、大半がインナーガレージだから、階高が低く設定されているのだ。 それが二階部分にスキップフロアを生み出し、外観にも変化をもたらしている。 しかしその影響で、インナーガレージに隣接するサニタリーゾーンの天井高も低いのだ。
その低さをカバーするために、玄関ホールよりも一段降りて洗面所に至る計画としているのではないか。

ということで、練り尽くされた2リビングタイプに対し、このガレージタイプは粗さが目立つ。
全ては、ガレージを組み込んだことに起因しよう。 しかし、当時の同社のラインアップの中では唯一のインナーガレージタイプだ。 そして、スキップフロアや凹凸のある外観も、当時の商品群の中では一番変化に富んでいる。

このガレージタイプは、何件か実物を観ている。
地域的な影響もあろうが、インナーガレージを居室に変更したパターンが結構多い。 当然そのままでは天井高が低いから、恐らく床レベルを下げているのだろう。 あるいは半地下にしていたら、それはそれで面白い。
その場合、この北側を余暇室、南側を普段使いのファミリールームとして使用することになろう。 2リビングタイプとは逆の運用になる。

似て非なる二つの形式の並存。 そういった点では、ガレージタイプも含め、このモデルは面白い。



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*引用した図版の出典:ミサワホーム

2011.11.12/記