日本の佇まい
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住宅メーカーの住宅
S型に繋がる原型:ミサワホーム・コア350 |
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1.概要 | ||||||
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旧通産省・旧建設省・日本建築センター共催で1970年に実施された「パイロットハウス技術考案協議」の当選モデルになる。
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図1が、その並置の基本概念図。
東西に貫通するジョイントスペースと呼ばれる線上の空間を、建物中央のやや北寄りに設定。
そのジョイントスペースの北側左右に、浴室と洗面室とトイレを一纏めにしたサニタリーユニットと、キッチンユニットを配置。
南側に、木質パネルで構成する居室を配置する。
二種の工法をジョイントスペースを介して並置する基本ルールを守れば、あとは様々なプランバリエーションの展開が可能だ。 図2は、そのバリエーションの一つ。写真1の右脇に写っている平屋の住棟は、この図2のレイアウトに基づいている。 |
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図1:*プラン概念図 |
図2:*バリエーション例 |
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図1の平面構成に従った建設プロセスを示すと、図3及び4の概念図の様になる。
工場で殆ど造り込みが行われたサニタリーユニットとキッチンユニットのコアを現地に搬送。 基礎の上に配置する(図3)。 そして、ジョイントスペースを介した南側に、規格化された大型パネルを用いて外壁や居室の間仕切りを構成する(図4)。 諸室の用途に応じた効率的な生産性の選択から、二種の工法を並置する形式が編み出された。 |
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図3:*
建設プロセス概念図1 コアの設置。一つのコアの大きさは、幅3640mm・奥行1365mm・高さ2430mm。 |
図4:*
建設プロセス概念図2 大判の木質系モノコックパネルを用いた居室ゾーンの施工。 |
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2.平面計画 | ||||||
図1の平面概念図に具体的なプランに落とし込むと、図5の通りとなる。
ここで、コア工法とパネル工法の並置という特徴が顕著に出てくるのが、キッチンから居間にかけてのインテリアだ。
通常ならば、6畳弱のダイニングキッチンと8畳のリビングルームに分けるところだ。
しかし、ここではその概念は存在しない。
短辺方向約4.5尺のキッチンユニットと、8畳のリビングルームが、半間幅より少し広いジョイントスペースを介して接続された空間構成なのだ。
そのために、双方の間に、二重の袖壁と垂れ壁が生じている。
ミサワホームでは、1971年6月に「パコカライン構想」という工業化住宅の進化過程を提唱していた。
ここで、「パ」はパネル、「コ」はコア、「カ」はカプセルである。
究極の工業化住宅生産システムとして、カプセル工法を標榜していた。 |
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3.現実モデルへの展開 | ||||||
※3:
写真5*: コア75のジョイントスペース。 中廊下や、その奥に続くダイニングスペースとして機能。 このジョイントスペースの向かって左側が居室を形成する大型パネル工法で構成されたゾーン。右側が、コアで構成されたエリア。 このやや幅広の中廊下は、後のS型系列のモデルに引き継がれる。 |
コア350は技術考案協議の提案モデルであるが、その概念を盛り込んだ商品化モデルとして、「ホームコア75」が発表された。
このホームコア75は、コア350からミサワホームS型へと進化する過程に位置する。
時系列的にも、コア350の当選が1970年、ホームコア75の発売が1973年8月21日、ミサワホームS型が1977年。
一方で、ミサワホームS型では無くなった二重の袖壁と垂れ壁が、ここではまだ踏襲されている。 その商品名称に「コア」を冠しているように、水廻りのコアシステムは、このモデルにも採用されていたのだ。 |
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*引用した図版の出典:ミサワホーム
参考文献:パイロットハウス入選作品集<日本建築センター> 2009.08.22/記 2009.11.07/図版追加、記述内容改訂 2009.12.19/図版差替、記述内容追記,改訂 |