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建築の側面
東京都物件13:期間限定側面生成
規模:地下1階・地上5階

用途:事務所ビル

写真1:外観

写真2
矩計図の実体化。
均質グリッドの中の多様性。

もともとは、敷地に沿う道路形状に合せて屈折した平面形状を持つ建物であった。 屈折部は優雅な曲面壁となっており、端正な外装プロポーションと相まって、近代建築の代表作として高い評価を受ける由緒正しき歴史的建造物。
しかし時代の波には抗えず、建物の部分保存と超高層ビル建設を組合せた再開発の波に飲まれることとなった。 再開発の一環として、道路境界から建物の外壁面を後退させるため、屈折部を挟み込む両翼をそれぞれ敷地の内側に曳家する。 その際は、屈折部をいったん除却しないと、動かすことが出来ない。 で、その除却によって側面が露わになったという次第である。
いわば、建物断面の側面化。 関東物件No.1が生成された理由として想定される現象と同じ状況だ。 違いは、こちらの方は再開発事業のスケジュールに合せてその側面露出期間が定められていること。 曳家工事完了後に屈折部位は再現され、側面は再び建物の内側に取り込まれることになる。

さて、その側面。
均一な柱と梁とスラブによって構成されたグリッドの一枡ごとに、それぞれ異なる表情の壁面が並置されている。
均質性の中の多様性。 そんなところが、なかなか味わい深い。

周囲の状況や、映りこんでいる建物外壁面のデザインから、この建造物の名称は判って頂けよう。
そう、これは再開発工事が進行しているさなかの東京中央郵便局である。



2011.04.29/記