日本の佇まい
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建築の側面
関東物件01:漂白された切断面
規模:3階建て

用途:店舗

写真1:外観
写真2:

写真1の中で本来の機能を有する実態として存在する部材は、右側上部の月極駐車場の看板と一階中央のアルミサッシの開口部。 あとは、白く塗り固められた側面としての外壁があるのみだ。 その壁面に確認出来る浅い凹凸が、かつての建築用途の断面の痕跡であることは明らか。
辛うじて視認可能な右下から左上へと上昇する階段。 そしてその途上の踊り場部分に、恐らく元々は出入り口であったのであろう矩形の窪み。 その窪みの下端から、床スラブの跡と思われる水平の出っ張りが左側に伸びる。 そしてそのスラブによって支持される様に、タイル張りの壁面が階段下に配置される。

果たして、この壁面の生成過程は如何なるものか。 想像する以外の解析方法は無い。
凹凸が階段と出入り口の窪みのみであれば、単に元々設置されていた外部階段を徐却した痕跡というだけのことになろう。 しかしながらこの事例では、そこにスラブや異なるテクスチュアの壁仕上げ(=タイル張り部分)が加わる。 となるとこれは、何らかの理由で建物の一部を減築せざるを得ず、その結果として徐却部分の断面が痕跡として表層に顕れたということになるのであろうか。
もしそうであるとするならば、他の側面事例とは状況が大きく異なることになろう。 他の事例が、隣接建物の徐却により生じた、あるいは露わになった各種現象であるのに対し、この事例は、自身の一部徐却によって生じた様態ということになる。
つまりは、建築の側面というよりは断面。
若しくは、建築の切断による断面の側面化とも言えようか。 都市の片隅で処された苛烈な営為が、白一色に塗り込められることで清楚な抽象性を獲得し、建築は単なるレリーフへと置換された。



2008.06.21/記