日本の佇まい
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建築の側面
新潟県物件No.04:錆が炙り出す接線
規模:2階建て

用途:住宅+倉庫

写真1:外観
※1
正式には、溶融亜鉛めっき鋼板。 いわゆる「トタン」のこと。

※2

写真2:
トタンの重ね部分詳細
重ね継ぎ部分が錆びにくいというのは、この側面物件のみに固有の現象ではないようだ。 小波鋼板を張った他の事例でも確認することが出来る。

小波鋼板※1をまとった側面。
その殆どに赤錆が発生しているが、灰色の表面処理層が錆びずに残っている部分が、線状にほぼ等間隔に配列されている。 また、軒の下端にも錆が発生していない。
軒下は、雨が掛かることが少なく湿潤状態になりにくいために錆びの進行が遅いのであろう。 しかし、縦筋状の部分は何に起因して残されているのであろうか。 近寄ってみると、概ね鋼板どうしを重ね継ぎしている部分が錆びずに残っているようだ※2。 理由はよくわからない。 恐らくは、重ねられた鋼板どうしの間が水の通り道、あるいは水の滞留条件になるために、この部分だけは表面よりも裏面が錆びているのではないだろうか。 裏面の発錆により表面は電位が安定し、腐食の進行が抑えられているのかもしれない。

ともあれ、発錆現象により継ぎ手部分が炙り出されているというのが、この側面の実態。 そして、炙り出されたように残された亜鉛メッキが、一種のリズムを壁面に刻印しているかの様に見える。 経年変化が建築の側面に宿した表情だ。

ちなみに、手前は建物が除却された跡地を月極駐車場に転用されている。 長岡市の物件No.2と同様、融雪のために用いる地下水に鉄分が多く含まれているため、アスファルト面が鉄錆色に染まっていることが確認できる。 駐車場の床面と建築の側面による発錆現象の共演というのも、この風景の特長であろう。



2007.02.10/記