日本の佇まい

INDEXに戻る ニシン漁家建築:旧種田家番屋


所在地:
石狩市浜益区床丹

竣工:
1899年

規模:
340.9平米

備考:
現存せず

緊急調査報告書には、所有者が何度も代わっているために最初の持ち主は不明と記載されている。 遡のぼった限りで判明した所有者の名をもって番屋の名称として記録している。


写真1:外観.1


※1

写真2
妻壁側外観。
撮影時期が冬のため、雪が積もっている。 外壁が外れた部分から、斜材が連なるトラス形式の小屋組みが確認できる。

※2
14インチ×10インチ(35.56cm×25.4cm)の規格寸法ガラス。 半紙の大きさに近似しているため、半紙判と呼ばれた。

※3
三角形断面の細い桟でガラスを建具の組子に固定するディテールのこと。 当時は、パテで固定することが一般的であったが、その代用として用いられた。

※4
半紙判のガラスを横三列、縦三段に並べて配置した建具を、この様に呼称した。 横を二列にした「六枚入り建具」とともに、規格型建具として北海道内で普及した。

私が初めて訪ねた時点においてもかなり崩壊が進んでいた。
写真2※1は、写真1とは逆側の妻面を撮したものであるが、外装がかなり損傷していて、トラス形態の小屋組が外部から確認できる状況であった。
そのトラスによって支持される切妻屋根には、番屋建築の特徴である煙出しが無い。
前述の報告書に掲載されている外観写真においても存在が確認できないので、相当前に撤去されたのか、あるいは最初から設けられていなかったのかも知れない。

正面のほぼ全面に下屋が付く。
そして切妻破風を構えた玄関がやや右寄りに設置されている。
網元側スペースの開口部は連子格子が取り付けられる事例が多いが、この番屋には無い。
そのため、半紙判のガラス※2を四分一止め※3で納めた九枚入り建具※4が明瞭に確認できる。


写真3:外観.2

ガラス建具の使用は、明治後期の北海道における民家の特徴の一つと言われている。
本州以南で需要が少なかった端材を規格化した半紙判というガラスが、防寒というニーズにマッチして北海道に大量に流通したことが、ガラス入り建具の普及の要因であるといわれている。
そしてその波は、漁村にも広がった。
この種田家に限らず、番屋建築においてガラス入り外部建具の仕様は一般的であったようである。



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参考文献:
建造物緊急保存調査報告書第13集<北海道教育委員会>

2007.10.20/記