日本の佇まい

INDEXに戻る ニシン漁家建築:旧木村家番屋


所在地:
石狩市浜益区幌

竣工:
1890年代

規模:
436.9平米

備考:
非公開

※1
このケムリダシには、かつて棟の両端に洋風の棟飾りが付いていた。

※2
現存する番屋の中では最大規模を誇る「花田家番屋」のケムリダシでさえ、2間×2間である。

花田家番屋:
所在地;
留萌郡小平町字鬼鹿広富
規模;906.477平米
現況;重要文化財

集落の海沿いに連なる段丘の中腹に、海に妻面を向けて建てられている。
入母屋形式の大きめのケムリダシが特徴的である※1


写真1:外観(段丘の上から観た外観)

3間×2間という面積は、恐らく現存する番屋建築の中では最大ではないだろうか※2。 ここまで立派だと、例えば親方専用の居室を収めた望楼の様な用途に供されていたのではないかと期待してしまう。
しかし、何と言うことはない。 他の番屋建築と同様、排煙の機能のみを担っている。 大型なのは、その直下のダイドコロ空間に囲炉裏が三箇所分散して設けられていることによる様だ。 三箇所の囲炉裏を覆うように、このケムリダシが設けられている。


写真2:段丘の下から観た外観

※3
下記参考文献1.参照

※4

写真3
板塀があった頃の外観

資料※3によると、三箇所の囲炉裏を擁するこの漁夫溜まりを囲うように、コの字に二段のネダイが設けられている。 漁夫溜まり部分は、漁の繁忙期に土足での往来が可能なように様々な工夫が施されており、番屋建築としての機能の洗練が見受けられる。
このダイドコロ空間に比べ網元用の座敷スペースは小さめであるが、鰊番屋の特徴が良く現れた貴重な建物だ。
残念なことに、この番屋も永い間無人の状況にあり、開口部は板で塞がれている。 従って、旧態のディテールを確認することは出来ない。

以前は、写真2の建物の向かって左側の石垣前面に、背の高い板塀が設けられていた(写真3※4)。 猛烈な海風から建物を守るために設置されたものである。
多くの漁村集落で確認できるエクステリア部材であり、景観を構成する主要アイテムであったが、近年は減少傾向にあるようだ。



参考文献:
1.建造物緊急保存調査報告書第13集<北海道教育委員会>
2.重要文化財 花田家番屋修理工事報告書<小平町>

2007.01.13/記
2007.01.20/レイアウト変更