日本の佇まい

INDEXに戻る ニシン漁家建築:旧木村家住宅


所在地:
石狩市浜益区濃昼

竣工:
1900年頃

規模:
480.2平米

現況:
非公開

写真1:外観


※1

写真3
応接室廻り開口部詳細。
改修後の状況であるが、旧態が良く遺されている。

※2

写真4
母屋隣の煉瓦蔵。
大半がトタンに覆われているが、アーチ窓が穿たれた洋風の表情が一部伺える。 写真2の向かって右側に配棟されていたが、現存しない。

※3
濃昼は、「ゴキビル」と読む。 店名は集落の名称に由来するが、その集落は濃昼川の河口付近の扇状地で、三方に山が迫る谷間に形成されている。

洋風意匠の出部屋と、その左側に隣接した和風の玄関という組合せが印象的な建物である。
この出部屋部分は八角形平面の半分が突出した形態で、正面の三面に洋風のアーチ窓が連なっている※1。 更に、トンガリ屋根の頂部に尖塔状の棟飾りが付く。 内部は洋室を志向した応接間になっている。
一方、玄関部分は起り破風に屋号を刻んだ棟飾りと懸魚が付けられた和風の意匠。
この和と洋の奇妙な接合を中心に、全体は下見板にアーチ窓を施した洋風要素を意識した構成となっており、鰊漁家建築としては極めて異色な外観が形作られている。

但し、その外観に洋館としての質を問うならば、少々辛いところもあろう。 慣れぬ様式の建築に携わった棟梁の苦労が偲ばれる。


写真2:全景(改修以前の状況)

この洋館的な部分の用途は木村家の専用住宅であり、その左の屋根が一段低くなった部分が番屋である(写真2)。 番屋建築の特徴である大きなケムリダシが確認できる。 建設時期は住宅部分よりも古いという。
この住宅と番屋で構成される母屋を含め、煉瓦蔵等の付属施設が日本海に対して妻面を向けるように一直線に並んで配棟されていた※2

近年、住宅部分は「濃昼茶屋※3」という名称の郷土料理店として活用されていた時期があった。 店舗とするにあたっては、内外観ともに旧態を良く遺す形で修復が図られた。



参考文献:
建造物緊急保存調査報告書第13集<北海道教育委員会>

2006.11.04/記
2007.01.20/レイアウト変更