日本の佇まい

INDEXに戻る ニシン漁家建築:旧青山家出張番屋


所在地:
小樽市祝津

竣工:
1890年代

規模:
1階;222.1平米

現況:
現存せず

写真1:外観


※1
1970年に行われた緊急学術調査資料にも、既に「破損がはなはだしい」と報告されている。

※2
写真1を見ると、手前の方に二本のつっかえ棒が斜めに立てかけられていることが確認できる。 これらの棒で支えられているのが、かろうじて表皮一枚遺された正面部分の外壁。 更に手前部分にある小屋は、外便所。

小樽市西部の祝津港に面した少し高台になった場所に建てられており、敷地内からは石狩湾が一望できる。 また、小樽水族館に付随する遊園地に隣接している。
私が初めて観た1988年頃は、既に建物の向かって右側半分(写真1の手前側の部分)がほぼ失われており、廃墟然とした様相を呈していた※1。 しかし、その失われかけた部分も、正面部分のみ文字通り皮一枚といった状態で残されていた※2
その遺構から、縦繁格子が連なる繊細な和の意匠が施されていたことが想像できる。

1979年発刊の樋口英夫の写真集「日本のにしん漁」には、かろうじて原型を留めた外観写真が載せられている。 この当時も、既に屋根葺材が部分的に朽ちかけた状況ではあったが、寄棟形式の大屋根の上に写真1でも確認できる切妻のケムリダシが載る、典型的な鰊番屋建築の形態が窺える。
玄関は、正面の中央よりやや左側に設けられている。 この玄関の位置から推測すると、恐らく玄関の左側が網元のスペース、そして大半が失われた右側が傭漁夫のスペースであったと思われる。

荒廃著しい状況にありつつも、かつての漁村集落の名残を遺す貴重な景観要素であったが、1990年代半ばに除却されてしまった。



参考文献:
建造物緊急保存調査報告書第13集<北海道教育委員会>

2006.07.08/記
2007.01.20/レイアウト変更