日本の佇まい
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建築外構造物
明治百年記念展望塔
所在地:
千葉県富津市富津2280

竣工:
1971年

設計:
池原謙一郎


写真1:

浦賀水道から東京湾に至る入り口部分に房総半島から突き出るように形成された富津岬。 その突端部分には県立富津公園が整備され、海浜リゾートとしての立ち位置を醸成している。
そんな公園の先端に整備された展望施設。

高さの異なる柱が幾つも並ぶ。 それぞれの天端にはスラブが設けられ、その上面は金属製の手摺が円形に廻されてテラスの用途に供す。 隣り合うスラブどうしには必ず高低差が生じているので、個々のテラスは全て階段で連結されており、階段を介して往来することになる。
林立する柱と折り重なるスラブの間を縫うように設けられた複数の階段を昇降する体験は、どこか迷宮の中を彷徨うかの如し。 それらの構造体越しに異なる風景が徐々に展開し、その上昇感に誘われて最上層のテラスまで難なく上り詰めることが出来る。
そしてその頂部からは、富津岬はもとより東京湾を一望することが可能だ。


写真2:

写真3:
施設の概要はおおよそこんなところ。
余計な形態操作は一切無い。 単純にして力強い構造体の連なりは、観る位置によってその姿を微妙に変化させつつ、岬の突端という苛烈にして壮大な自然を前に一歩も引くことなく忽然と屹立している。
その末広がりな全体像は五葉松のメタファなのだそうだが、東京湾の向こう側に対峙する富士山と関連付けられているようにも見える。


INDEXに戻る 2012.12.15/記