日本の佇まい
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建築外構造物
志免鉱業所竪坑櫓
所在地:
福岡県粕屋郡志免町

竣工:
1943年
構造
鉄筋コンクリート造

規模:
高さ48.6m

用途:炭鉱施設
深い地層での採掘作業を目的に建設されたもので、この地下に深さ430mの竪坑が設けられていた。 この竪坑の昇降設備を納める施設として、この竪坑櫓(たてこうやぐら)が造られた。

写真2


写真3


写真1:外観1

昼下がりの冬の穏やかな陽光に照らされたこの構造物の佇まいは、見に来る価値があったと思わせるのに十分な存在感であった。
一般的な建築をイメージする際の寸法系とは趣きを異にする圧倒的な土木のスケール。 建築的な意匠を強く意識したと考えられる独特の構成的なデザイン。 あるいはむしろ、そのような表現が意味を持たぬ程に、それはあまりにも物質的であった。

隣接して公共の福祉施設と公園が整備されている。 お陰で、すぐそばまで近寄ってこの構造体を観察することが出来たのだが、何か調子が狂う。 茫漠とした広大な荒地の中に孤絶の状態で佇む様子をイメージしていたからだ。
しかし、風化したコンクリートのテクスチュアと、構造体全体の美しい構成が織り成す豊かな表貌を、存分に堪能することが出来た。

この構造体も保存か解体かで一時期議論がなされたが、「見守り保存」という方針が導き出されたようである。

2007.07.07/記