日本の佇まい
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建築外構造物
日立の大煙突
所在地:
茨城県日立市三作

竣工:
1914年

構造:
鉄筋コンクリート造

規模:
高さ155.7m

用途:
鉱山施設

※1
建築専門の月刊誌。
1965年1月創刊
2000年12月休刊
312号は1990年9月発行。

※2
煙道部分の別アングル。 これとは別に、幾筋もの煙道が、大煙突に向かって設けられている。

※3
写真1の右手方向の裏側に造られた別ルートの煙道。 山頂の大煙突に向かって、山腹を這うように設けられている。


※4
写真1は、1991年8月に撮した倒壊前の状況。

この施設の存在を知ったのは、SD誌※1の312号であった。
その誌面上に、大煙突に至る煙道部分の写真が載せられていたのだ。
急斜面を這うようにヴォールト屋根が連なる煙道※2※3を捉えたその画像は、尋常ではない存在感を余すことなく表現していた。
しかしながら、この写真を見た当時は札幌に住んでいたため、「関東方面にこの様な場所があるのか」といった程度の印象を持つに留まっていた。


写真1

その後、日立市での建築の仕事に携わる機会があり、この煙道を伴う巨大な煙突が市内に存在することを知る。
JR常磐線からの遠望でも異様な巨大さが確認できるその構造体を、仕事の合間を縫って近傍まで訪ねる。
山の下手から山頂に建つ煙突を見上げる形となるので、その迫力は半端ではない。
また、煙道の形状も、SD誌の写真で得たイメージを裏切ることの無い極めて美しいものであった。

市の中心部に戻り、図書館で郷土資料をめくる。
用途は銅鉱山施設。
鉱石を精錬する際に排出される亜硫酸ガス濃度の希釈を目的に試行錯誤の結果、竣工当時世界一の高さを誇る煙突の建設が実行されたのだそうだ。
各地で公害が問題化する遙か以前に、積極的に環境問題に取り組んでいた先進性に驚かされる。
その精神を具視化した存在は、産業遺跡としての価値を十分持ち得るものであろう。
1993年2月19日、老朽化が原因と思われる倒壊により、その高さを約1/3に減じる※4
また、2005年3月に煙道の一部が崩落している。



2007.07.07/記