日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです
町並み紀行
建築探訪
建築の側面
ニシン漁家建築
北の古民家
住宅メーカーの住宅
間取り逍遥
 
INDEXに戻る
建築外構造物
赤羽台給水塔
所在地:
東京都北区赤羽台2

竣工:
1962年

構造:
鉄筋コンクリート造

公営住宅が建ち並ぶ敷地内に配置された給水塔である。

コンクリート打ち放しの無表情な壁面の四隅に45度の角度に振れた袖壁がつく。
袖壁の頂部は曲面を伴いながらオーバーハングし、更に中心に向けて数本の飛び張りが水平に分岐する。
その飛び梁により、樽の様な形状の水槽が支持されている。
頂部に溜められた水の重量による応力の伝達を素直に表現したかの様なデザインだ。


写真1:外観1

周囲を睥睨するかのような特異な存在として、団地内に給水等がそそり立つ光景は、昭和四十年代の公営団地を中心に、様々な事例を見ることが出来る。
高架水槽という機能的要請そのものが、同じ規格の住棟が並ぶ大規模公営団地の中では異質な存在とならざるを得ない訳であるが、いずれも個性的な形態を纏っている。
住棟については徹底した規格化が推し進められたのに、なぜ給水塔にはそれが無かったのか。
独自の意匠を考える余地の無い公営住宅の計画において、標準設計の規定の中から漏れたまま、半ば暗黙の了解の内にデザインの自由を許されていたのだろうか。
経緯はともかくとして、結果としてそれは都市の一つの風景を造り上げてきた。

給水塔を伴う大規模公営団地は、その多くが建て替えの時期にさしかかっている。
そして設備の更新と同時に、給水塔も除却されてしまうのであろうか。



2007.07.07/記