日本の佇まい
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建築外構造物
嶺泊の建物跡
所在地:
北海道石狩市厚田区嶺泊


写真1:

日本海に面した海岸段丘に寄り添うように、階段状に形成された構造体が遺されている。 下から見上げると、まるで神殿か祭壇の遺跡のような、そんな迫力がある。

※1

写真2
除却前の建物外観。
段丘の下の僅かな平地に形成された小さな集落からの見上げ写真。 建物へは段丘の上部、建物の最上階から入る構成になっていた。

かつて、この構造体の上部には、RC造三階建ての建築が建っていた※1
ラーメンフレームをそのまま表した力強いグリッドに開口部が嵌る箱型のシンプルな外観。 建物には段丘の上からアクセスするようになっていて、アプローチ側から観るこの建物は平屋建てに見えた。 つまり、建物の三階部分からアプローチする。
屋内に入って大開口から外を眺めれば、石狩方面に連続する勇壮な海岸段丘と石狩湾を一望することが出来たことであろう。

建築が去って礎石のみが遺る。 それによってかつての栄華が今に伝えられる遺跡は多い。
この階段状構造体も、今後永い期間に亘って日本海から吹き付ける風雪にさらされてその風貌を変容させつつ、建築の記憶を留める痕跡として機能し続けるのであろう。


写真3:
段丘の下部から見上げた構造体。

写真4:
石狩湾に連なる海岸段丘。


2011.10.15/記