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北の古民家
小樽の民家
所在地:
小樽市

写真1:外観


道内の古民家を見て廻っていると、屋根に丸太材を載せている事例を時折見掛ける。 例えば、別途紹介している「小樽の二軒長屋」、「札幌の二軒長屋.2」、「二条市場」等々において、その設置が確認出来る。

「二条市場」のページに掲載した俯瞰画像を見てみると、丸太の設置方法は様々。
軒先の桁方向に一本、屋根に直接固定したもの。 もう一本平行に屋根勾配の途上に固定したもの。 あるいは、屋根勾配に沿って張間方向に等間隔に丸太を並べ、その部材で軒先桁方向の丸太を固定しているものも確認出来る。 同様にもう一本平行に通したもの、あるいは更に入念に等間隔に丸太を並べて屋根面全体に井桁状に敷設したものも見受けられる。
方式は幾種かあれど、その設置目的はいずれも雪止め。 降雪期、屋根面に積もった雪が地上に自然落下し、周囲の家や近傍を往来する通行人に被害が及ばぬよう設置された外装部材だ。
今でこそ、屋根葺き材に付属する雪止め部材は、鋼製のパーツが様々製品化されている。 だから、丸太を並べる事例は時と共に減少している。 しかし、原色の亜鉛メッキ鋼板製屋根葺材と雪止めの丸太材が織り成すコントラストは、民家が連なる北海道の風景の一要素として長い期間にわたって日常的なものとなっていた。

当該民家では、切妻二方向の傾斜面の張間方向に敷いた部材を棟で交差。 互いに更に先へと延伸させて、あたかも千木が並ぶ様な意匠を作り出している。 果たしてその交錯が、千木を意識したものか否かは判らないし、あるいはその事由自体を知る必要も無い。 しかし、雪国ならではの外装部材に加えた少々の形態操作によって、外観に独自の風貌が与えられた。



2023.12.16/記