日本の佇まい
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北の古民家
三角屋根の洋館
所在地:
伊達市

写真1:外観


北海道内に在住中、知人の車に同乗しドライブを楽しんでいた途上にて出会った民家。
土地勘が殆ど無い場所であったため、その所在地は今となっては全く定かではない。 しかし、撮り収めた写真の中に「DATE」と大きく表記した看板を掲げた建物が映っていることから、恐らくは伊達市内なのであろう。

季節はちょうど夏。 海沿いの道を知人と共に走行中、海水浴に向かうのであろう車による渋滞に巻き込まれ、ノロノロ運転を強いられている最中であった。
やや退屈しつつ車窓より眺めていた風景の進行方向前方に、この民家が目にとまる。 「ちょっと待った!」。 運転をしていた知人は、また始まった・・・と半ばあきれ顔。 渋滞でどうせ車も動かないから勝手にしろ!といった視線を投げかけてくる。 私はそんな知人に大して構うこともなく迷わず降車。 その民家に向かって走り寄り、暫しその意匠を堪能する。

他にはちょっと見掛けぬ形式の外観だ。
急勾配の三角屋根によって作り出される小屋裏スペースを三階部分に持つボリューム。 二階の開口部は、繊細な弓型ペディメントを伴った片開き窓が二箇所。 その前面に、両端を隅切りした片持ち形式のバルコニーが取り付く。
小屋裏に当たる三階部分にも、同様の意匠を施した両開き窓が中央に穿たれる。 これらの開口のガラス面は格子によって分割されているが、その割付けは道内において良く見かける半紙版ガラスの規格に則ったものとは異なる。
一階部分は、後補に拠るスチールシャッターの設置等もあり凡庸なものに留まる。 しかし、屋根形状も含めてシンメトリカルにまとめられた二,三階部分の意匠によって、圧倒的に個性的な外観となっている。

ひょとしたら竣工当初の一階部分は和風の構えで、フロアによって和洋の意匠を使い分ける道内の各地域に見受けられる折衷様式だったとしたら更に面白かったね・・・などと、建物を前にして妄想を膨らませていたら背後から軽いクラクション音。 振り向けば、知人の車がすぐそこまで追い着いている。 「いい加減にしろよ」と乗車の催促。 確かに、このままでは置いてきぼりを食らうこととなってしまう。
また、じっくりとその外観を堪能する機会を作ろうなどとその民家との再会に想いを馳せつつ車に乗り込む。 しかし結局所在地の特定も出来ぬまま月日が過ぎ去ってしまった。
ありふれた街並みの中にて突如この様な素敵な古民家に出会えることの愉しさ。 あるいはまだ、そんな古民家がひっそりと私の知らぬところで今でも大切に住み継がれつつ多数存在しているのであろう。



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