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北の古民家
浜益の民家
所在地:
石狩市浜益区浜益

写真1:外観


※1
かつては柾葺だったのであろう。 ある時期に葺き替えられたと思われる長尺瓦棒による亜鉛メッキ鋼板仕上げの屋根も、今となっては味わいがあると思う。

急勾配の屋根は、積雪地あるいは寒冷地ならでは。 そこに葺かれた原色の亜鉛メッキ鋼板※1と、良い塩梅に褪色した壁面の下見板とのコントラストも北の古民家の風情を醸している。
そして開口部に見受けられる一階と二階の意匠の切り分け。 つまり、簓子下見板張りの戸袋を備えた竪繁格子付きの開口によって和風でまとめた一階に対し、縦長の上げ下げ窓を並べて洋風にまとめた二階。 和洋を積層させる折衷様式は、この地にもすんなりと伝播していた。
二階の窓廻りに見受けられる半紙版ガラスの四分一留めや外枠廻りのディテールも、当時道内で幅広く用いられた標準的な型式だ。

その伝播経路は海なのであろう。
かつてこの地は、陸路においては地理的に孤島の様相を呈していた。 しかし、舟運により小樽を経済生活圏としていたのだ。 小樽で花開く新進の建築文化は、石狩湾を介して対面するこの地にも容易に伝わり、要素を少々切り詰められながらもささやかに個々の建物に反映された。
そんな一端が、この民家の外観にも色濃く顕れている。



INDEXに戻る 2013.08.24/記