日本の佇まい
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北の古民家
小樽の二軒長屋
所在地:
小樽市稲穂

写真1:外観


間口二件の住戸を二住戸配置した腰折れ屋根の長屋。
その屋根部分にヴォールトを冠したグルニエが突き出る。 一階の玄関の上に付く庇は、左右の住戸でやや異なっている。 向かって左手は切妻。右手の住戸は入母屋的な意匠。 そしてその脇の出窓の上端には片流れの庇が取り付く。
つまり、五種の屋根が組み合わさっている訳であるが、破綻することなく全景が納まっている。
玄関庇の違いは、初期からのものなのか、補修の結果なのかはわからない。 竣工時からのものであるならば、長屋ながらもそれぞれの住戸の玄関廻りに固有性を与えようとした配慮である可能性もあろう。 もしもそうであるならば、面白い。

玄関の右手にある出窓腰壁部分の意匠も、左右の住戸で異なっている。 しかし恐らくこの箇所の違いは、固有性の確保を目的としたものではなく、左側住戸の簓子下見板張りがオリジナルなのではないか。 つまり、和風の意匠。
一方で、二階のグルニエ部分の開口は、現在はアルミサッシとなっているが、欄間に残る格子状の木製建具からすると、かつては洋風の建具が設置されていたのかもしれない。
であるとするならば、竣工当初は一階と二階で和洋の意匠を使い分ける北海道の古民家ならではのファサード構成であった可能性があろう。 そしてその北海道らしさは、妻面の年季の入った下見板と、屋根面の原色のトタン葺きという建材の組み合わせによって、更に補強される。



INDEXに戻る 2013.04.06/記