日本の佇まい
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北の古民家
やまに旅館
所在地:
積丹郡積丹町
美国字船澗

写真1:外観


写真1の向かって左側の道路に面したファサードは改修が著しく、旧態を留めていない。
旅館としての体裁を整えるべく改修を試みたのものと思われるが、その際の価値観が、旧態は単に古臭いだけの悪しきものといったところであったのだろうか。 出来るだけそんな要素を取り払おうという想いのもと施された改修は、しかし今となっては逆にチープなものにしか写らぬ。 価値観の転換といってはそれまでであるが、惜しまれる改修ではある。
そして更に、防寒のために開口部に張られたビニールシートが、かつてそこにあったのであろうディテールの推測をも不明にしている。

しかし、望みは向かって右手の妻面にある。 道路に直接面しないが故に、旧態が良く残されている。 そしてその旧態が、極めて個性的で目をひく。
そのディテールは、写真2,3の通り。
微妙なアーチが天端に施された欄間の連なり。 母屋と下屋の隅角部見上げに施された平行垂木と戸袋部分の扇垂木が織り成す重奏の妙。 そして戸袋自体の凝ったデザインの面白さ。


写真2:

写真3:

恐らくは、同質あるいはそれ以上の意匠が道路側ファサードにも展開していたのではないか。
それが如何なる構成であり、そしてどのような全体像を成していたのか。 あるいは、竣工当初から宿泊施設であったのか、あるいは他の用途であったのか。 それ以前に、竣工したのは何時ごろなのか。 そういった来歴については、現存せぬために追求するには至っていない。
実見した際に残存していたディテールがとても気になる建物であった。



INDEXに戻る 2013.01.26/記