日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです
町並み紀行
建築探訪
建築の側面
建築外構造物
ニシン漁家建築
住宅メーカーの住宅
間取り逍遥
 
INDEXに戻る
北の古民家
やよい市場
所在地:
札幌市中央区
南10条西12丁目

建設年:
1931年

写真1:外観



写真2

隅角部詳細。
半紙版ガラスを入れた引き違い建具の外側全面にビニールシートを張って覆っている。
これは防寒対策として施されたもので、北海道の古民家でよく見かける。

交差点に面してL字型に配棟された長屋形式の店舗併設住宅。 西側に五区画、そして角の一区画を介して、南側に二区画の計八つの棟割で構成されている。
一階は下屋を張り出しているが、写真1の向かって右手の南側は、旧態を留めていると思われる。 対して西側は、個別に改修が施されている様で、個々にバラバラな意匠が並んでいる。 そしてその下屋の上に載せられた各店舗の看板が、何とも良い風情を醸し出している。
西側二階の屋根面に載せられている丸太は、積雪期の屋根からの落雪を低減させることを目的として設置した部材。 各住戸の煙突の垂直性と、この雪留め材の水平性によるコントラストが、看板類と同様、建物外観に表情を添えている。

この建物の最大の見せ場は、曲面で処理された隅角部のディテールだ。
写真2がその詳細になるが、下見板も一枚一枚に丁寧にRがかけられている。 そして屋根材も、扇形に葺かれている。
さすがに二階の引き違い三連窓は曲面を近似した多角形で処理しているが、左右を外壁と面一にし、中央のみ出窓にするといった形態操作が確認できる。
交差点に面した意匠として、施工者がささやかなこだわりをもって挑んだ箇所なのだろう。 結果として、単なる長屋建築に終わらぬ佇まいを、都市に向けて発散している。

この写真を撮ったのは、1990年4月。
既に、南側の二区画が仕舞屋となっていたが、その後徐々に空家となる区画が増え、ついに徐却されるに至った。



INDEXに戻る 2009.3.21/記