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町並み紀行
宿根木
場所:
新潟県佐渡市

備考:
重要伝統的建造物群保存地区
(1991年指定)

写真1:集落の三方を囲う海蝕崖の上からの俯瞰

※1:

写真4:
集落内の民家に施された扇の意匠の持送り部材。

※2:

写真5:
同上。集落内の民家。左手に見えるのが称光寺川。

新潟県の佐渡島の南端、小木半島に位置する。
三方を海蝕崖に囲まれ、一方のみ海に面する地形の中に形成された集落で、約1haの平地部分に百棟近くの家屋が密集して建つ景観が特徴となっている※1
港を有しているが、漁港というよりも商業港としての性格が強く、かつては地の利を生かして北前船の中継地点として機能した。

集落を構成する建築群は基本的に総二階造り。 道路に面して敷地境界ぎりぎりに立ち上がる外壁は、開口部が少なく閉鎖的な構えをとる傾向にある。 そのような建築群の合間を路地が縫うように通されているため、集落そのものが大きな迷路のような様相。 一旦その中に入ると自分が何処にいるのか判らなくなりそうだ。

写真2:
別アングルからの俯瞰

写真3:
集落の中

仔細に観察すると、様々な個性的なポイントが見え隠れする。
例えば、上げ下げ形式の擬洋風の窓(写真3)。 一階より張り出した二階部分の出桁を支える装飾的な持ち送り部材(写真4※1)。 あるいは、二股に分かれた路地に面した三角形の敷地形状に合わせて作られた家(写真5※2)。 更には海蝕崖の上部に昇るための石段。 路地の一部に敷かれた風化した石畳等々。

しかし、集落の基本構成として迷路性が挙げられることに変わりは無い。 集落の中を蛇行して流れている称光寺川の存在も、迷路性を強化しているのであろう。
どこか西洋の中世都市を連想させるような構造を持った町並みである。



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