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町並み紀行
石岡
場所:
茨城県石岡市国府

写真1:
登録文化財が3件並ぶ。
左から、十七屋履物店,久松商店,福島屋砂糖店。


※1
看板建築
建物の正面に、金属板やモルタルにより特定の建築様式を模した装飾を施した建物。
関東大震災後、商店建築を中心に採用された。

茅葺き民家が散在する八郷町の風景を観て廻ろうと思い、JR石岡駅前から路線バスに乗車。 出発後まもなく通った国道355号沿いに形成された市内の商店街にて、ちょっと気になる建物が車窓より幾つも目に留まる。
気に掛かりつつも、取り敢えずそのまま当初の目的地であった八郷町に向かい素晴らしい民家群を堪能。 しかし、予定を少し早めて石岡に戻り、気になった景観を確かめるべく市内を散策することにした。

車窓から確認した通り、いわゆる「看板建築※1」が多い。 群景として残されているわけではないが、高密度に点在する。 既に日が落ちかけていたので、足早に見て廻ったが、いずれもとても凝った意匠を纏っているのだ。


写真2:
大和田家貸店舗

写真3:
森戸文四郎商店

昭和四年の大火で一帯の建物が焼失。 その後再建する際に看板建築として作られたものが現在まで残されているということの様だ。
主だった事例については個々の写真の通り。 写真1はいずれも昭和5〜6年の建築。 中央の久松商店はギャラリーとして公開されており、地域文化の発信地として活動を展開している。 写真2は、コリント様式風の円柱が3本取り付けられた外観が異彩を放つ。 そのオーダーにあわせ、全体的に石造風の外観に仕上がっている。 向かって左側の柱が、1階と2階で位置がずれているところは看板建築ならではの御愛敬。 写真3は、アールデコ調のデザインにまとめられている。

他にも、魅力的な看板建築が散在するが、それにまじって昔ながらの土蔵や和風建築も所々に建つ。 風景としての時間的な奥行きを感じさせるが、地名からも判る通り、その歴史は奈良時代に国府が置かれた頃まで遡る。



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