日本の佇まい
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町並み紀行
小野
場所:
長野県上伊那郡
辰野町大字小野筑

写真1:


※1
信州地方に分布する民家形式。
なだらかな勾配の切妻屋根と間口の広い妻入りが基本。 棟には「雀踊り」または「烏脅し」などと呼ばれる装飾が載せられ、懸魚が付くものも有る。

写真4:

写真1の左側手前の民家の詳細。 破風板をはさんで上部に雀踊り、下部に懸魚が付く。

JR小野駅で降りると、その正面に国道153号が横切る。 かつては塩を運ぶ街道であった。
駅を背に左側に折れてその通りを進むと、やがて三軒の本棟造りの民家※1が堂々と鎮座する風景が見えてくる。 写真1は、逆に駅の方面に振り返ってみたところであるが、通りの向かって左側に二件、そして右手に一件が向かい合いながら建っている。 私の携行しているカメラではその全容を納めることは出来なかったが、概ねその佇まいの一端を少々ご認識いただくことが出来るのではないだろうか。

通りを挟んで並ぶこの三件の存在のみで、町並みに特徴的な佇まいを醸成させている。 町並みとは、面的ないしは線的に残る群景によってのみ成立するものでは無いということを認識させられた。 この様に、通りを挟んだ局所的な「点」としての僅かな存在だけの場合でも、それを構成する建物の質によっては町並みとして視認することが十分可能である。 旧小野宿におけるその主要構成要素として、この3件の建物は極めて貴重であると思う。
しかし、長野県の県宝指定を受け、保存・活用計画が策定されているのは、向かって右側に建つ小野宿問屋(旧小野家住宅)のみの様だ。


写真2:
小野宿問屋


写真3:
小野宿問屋向かいの二件の民家

小野宿問屋は1859年に発生した小野宿大火後の建築。 小野宿には本陣はなかったので、事実上本陣役を務めるなど、以前から町の中心的な存在であった。 1989年所有者から町に寄贈、町文化財指定(1991年)を経て、県宝指定という経緯を辿った。

集落から少し離れた所に「しだれ栗」の群生地が有るということで、訪ねてみた。 尋常ではない枝振りは確認できたが、地元の人の話では「個人的には新緑の季節が良いと思う」とのこと。 機会が有ればその季節に再度訪ねてみたい。



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