日本の佇まい
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町並み紀行
群別
場所:
北海道石狩市
浜益区群別

写真1:雄冬方面に北上する旧道から俯瞰した町並み


札幌市と留萌市を結ぶ国道231号は、石狩川を越えた辺りから日本海に面する海岸段丘にほぼ沿う形でルートが敷設されている。 従って、留萌方面に向かって進む際、左手に日本海、右手に崖地を臨みつつ北上することとなる。
そんな海と崖地に挟まれた僅かな平地に、時折小さな集落が形成されている様子が目に留まる。 何故にこの様な場所にと思いつつ車窓から散在する小さな集落を観ることとなるが、しかしそれは地上に通された道路を走行しながら眺めているため。 かつてこの沿岸一帯は、船に拠る海上交通が主だった移動手段であった。 更に、集落が形成された箇所はかつてこの沿岸で興隆した鰊漁の好漁場。 陸の孤島然として散在する集落は、その様な歴史的背景のもとに在る。
当該国道の全線開通が1981年。 更に冬期間の通行規制が解除され全線にわたって通年供用が可能となったのが1992年以降という当該一般国道の歴史も、その様な背景と共に在る。



写真3
写真4

写真2

写真5:
海岸沿いに建ち並ぶ漁労倉庫。

群別も、国道231号に面して形成されている集落。 群別岳に水源をもつ群別川が作る扇状地に形成されているため、海岸に対して奥行方向に広がりを持つ集落となっている。
写真1は、そんな同集落を北側から俯瞰したもの。 現在の国道231号が敷設される以前にこの地の陸路として供されていた旧道から捉えたものだ。 右手に広がる日本海に向かって集落が線形に連なる様子がわかる。 その集落の向こう側には険しく屹立する海岸段丘が連なる様子も確認出来る。 ここより石狩平野まで南下するエリア、あるいはこのアングルの背後にあたる雄冬に至るまでの北側の海岸沿いも、その大部分において同様の段丘が続く。

道は集落の最奥部、つまり写真1の左手にて集落と接続する。 従って、集落の中を歩む際には、家並みを眺めながら海に向かって進むこととなる。
私がこの地を初めて訪ねたのは1990年10月。 当時は、下見板の外壁にトタン屋根を被せた北海道ではよく見かける形式の古民家が多く散在した。 戸袋部分に小粋な意匠を施したもの。 あるいは鮮やかな塗装を外壁に施したもの。 そして、大きく改変されながらもかつてのこの地の漁家住宅の形式を継いでいることが確認出来る家等々、それぞれに意を凝らした佇まいを堪能できた。
そんな家並みを抜けて海沿いに出ると、海岸に面して漁労用と思われる倉庫が並ぶ。 住宅のスケールとは異なる家型の建物が並ぶ風景が面白い。



2018.09.29/記