日本の佇まい
国内の様々な建築について徒然に記したサイトです |
||||||
■
|
INDEXに戻る |
間取り逍遥
集合住宅.27:ニーズの変容と共に |
||||
物件データ
構造: |
共用廊下に面して二つの玄関を持つ。
少々変則的なこのプランの生成は、もともとは中央を通る壁によって分離独立していた左右二つの住戸を連結し一つの住戸に纏めたいわゆる「水平2戸1化」が実施された経緯に起因する。
冒頭に提示した図面は、中古販売するにあたってフルリノベーションが施されたあとのもの。
しかし、水平2戸1化はその改修時に実施されたものではない。
それより前の段階で既に2戸1化が行われていたことや、あるいはその際のプランがどの様なものであったのかということについては、同じ物件で中古販売されている他住戸の図面(下図)※1※2によって把握が可能だ。 大量供給のための狭小住戸の建設に端を発し、広さと部屋数に対するニーズに対応して水平2戸1化。 更に、少子化等に伴う家族構成人数の減少と、より豊かで余裕のある暮らしを求める市場動向に合わせたリノベーションの実施。 それなりの築年数を経る中で、その時々のニーズに逐一対応して来たプランの変容が、冒頭のプランに繋がっている。 |
||
※1:
つまり、水平2戸1化は入居者の合意形成のもと、全住戸を対象に実施された可能性もある。 UR(旧、日本住宅公団)が手掛けた築年数を経た団地等でその様な事例が多々あるが、その合意形成や実施工事の手法については、ストック活用に向けて今後益々増えるであろう類似事業の展開における円滑性確保のために蓄積が求められるノウハウであろう。 ※2: 右図の左右それぞれの住戸プランのパーツを組み合わせることで、先述した水平2戸1化以前の狭小プランがある程度推定できる。 |
|||
|
|
||
2019.06.08/記 |