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集合住宅.24:凸部凹部の効用

物件データ

構造:
RC15F

建築年:
2007年3月

総戸数:
42戸

専有面積:
84.95平米

プランの骨格は、概ね平準的な「マンション田の字」の形式に基づく。
しかし、妻側に凸部を設け、そこに洗面室と浴室を配置することで、通常この手プランにおいてそれらが収まるスペースに和室を設定。 行燈部屋ではあるものの、その和室を含め4LDKの間取りを実現している。

この妻側凸部は、居室とするには大きさも形も中途半端。 そのため、非居室用途を当てはめることとなる中でこれらの水廻りが選択された。 そこに商品性を付与し、販売訴求効果に供する。
その商品性は、主に二点。

一つは、洗面室と浴室双方に外部開口を穿ち通風及び採光を確保。
洗面室側はバルコニーに直結することで、日常生活におけるバルコニーの活用に広がりが期待されよう。 浴室の開口はその外側がバルコニー等を有さぬ絶壁面。 従って転落防止措置が必要となる。 元図を確認すると、横桟面格子を取り付けることでその対策としている。 従って折角の大開口でありながら眺望面の魅力はやや減じることとなろうか。

もう一つの商品性は、キッチンと水廻りが直結することによる家事動線の短絡化。 洗面室を介したキッチンとバルコニーの連携も魅力的だ。

住戸内におけるこの水廻りの配置は、各居室から当該空間に至る際にリビングダイニングを通る必要を伴う。 リビングが通過動線となるが、しかし上記水廻りのアメニティ確保とはトレードオフであろう。

他の特徴として、玄関の側面にも外部開口を設けていることが挙げられる。 これが北側バルコニーに直接出入り可能な開口なのか否かは元図からは読み取れぬ。 出入り可能であるならば、洗面室とバルコニーの関係と同様、その活用方法が広がることとなり面白い。 あるいは腰窓であったとしても、玄関への自然採光が可能である点において通常のマンションには無い魅力付けとなっている。
これは開放廊下側スパン梁に対し外壁を後退させ、フレーム内にバルコニーを組み込むことによって可能となった型式。 いわば、凹部の効用である。



2018.08.11/記