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集合住宅.21:ビューバスと温室とお茶の間

物件データ

構造:
RC造13F

築年月:
2008年6月

総戸数:
190戸

専有面積:
87.69平米


平面図

通常のマンション田の字の骨格を持ちつつ、本来南側に取り付く和室と住戸中央に設けられる水廻りの位置を逆転。 和室をリビングを介して採光を図る居室とする替わりに、浴室や洗面室への自然採光を可能としたプラン。 更にはその浴室の外部側にサンルームを連続させ、付加価値を高めている。
中住戸におけるサニタリー廻りのアメニティ確保という点で思い切ったプランだ。

特徴はそれのみに留まらぬ。 これらのサニタリー空間へのアクセスが、その無窓和室を介していることも注目される。 なかなか大胆な動線計画だ。
和室を茶の間として使うのであれば、こういったプランも有りだろう。 快適な浴室でリフレッシュした後に茶の間で一段落なんていう生活様態が容易にイメージできる。 キッチンのすぐ脇に和室があるという点、あるいは三本引込み戸によってキッチン側に完全に開放される建具設定も、茶の間的な使用方法の利便性を強化する。
とはいえ、サニタリースペースへの動線が茶の間を介するのみではさすがに心許無いため、リビング側からサンルーム介した経路も設定されている。 この経路は、洗面室からバルコニーに至る動線も成立させるため、洗濯物を外に干す、あるいは取り込むといった家事行為においても利点が見い出せる。
採光や眺望の確保とサンルームとの一体性。そして茶の間との連携性。 いずれも風呂好きにはとっても魅力的な付加価値となり得よう。

果たしてこのプランは販売当初からのオリジナルなのか。
真っ当に考えるならば、和室との間仕切り部分の扉を取りやめて完全な壁とし、その壁を背とするように洗面化粧台と洗濯機置場とリネン庫を一列にレイアウト。 そしてLDRとの間仕切り部分に出入口を設けるところであろう。
リビングアクセスの洗面室というのもあまり感心せぬが、個室として使用する可能性もある和室から出入りするよりは一般的な処理だ。 勿論そうしてしまうとプランとしての個性は著しく減じてしまうが、案外基本プランとしてその様な間取りが設定されていたのかもしれぬ。 で、それとは別にメニュー対応として当該プランが用意されていたのか。 あるいは、入居者に拠るリフォーム、はたまた新築時のセミオーダー対応の結果等々、いろいろな可能性は考えられる。
経緯は判らぬが、ちょっとしたプラン操作によって、楽しそうな日常生活を容易にイメージ可能なプランが実現されている。



2015.02.16/記