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間取り逍遥
集合住宅.16:三層メゾネット

物件データ

構造:
RC造4F

築年月:
1982年04月

総戸数:
4戸

専有面積:
94.17平米

バルコニー面積:
16.50平米

3層メゾネットというだけでも希少ではあるが、それ以上に、その間取り自体が集合住宅としては何とも不思議な体裁だ。
掲載されていた広告によると、この集合住宅の全住戸数はこの住戸を含め4戸。そして四階建てと記載されている。
それではこれ以外の3住戸はどんな間取りなのだろう。 そしてそれらがどのように組み合わさって集合住宅を形成しているのか。

推察するための前提条件として、当該3層メゾネット住戸をオーナー住宅、他の3住戸を賃貸住宅と仮定してみる。
土地の有効活用を目的に、もともと戸建住宅であったものを高層化。 賃貸住戸を併設し、節税対策と賃料収入を得る。
立地条件によっては、よくあるパターンだ。


四階平面図   

二階平面図

三階平面図

当該住戸をオーナー邸と推定するポイントは二階部分にある。 玄関を入ってダイレクトにダイニングキッチンという構成は、住戸の規模からしてややイレギュラーだ。 プラン検討時に入居者の生活様態や意向を反映できるからこそ有り得る間取りであろう。 従って、入居者が事前に特定されぬ分譲や賃貸という可能性は極めて低い。

また、建物の外形についても、このオーナー住戸の間取りから想定が可能だ。
3フロアを重ねてみた際、四方向全てに開口部が設けられていることがわかる。 つまり、積層した際に生じる外形ラインが建物の外壁ラインとほぼ一致する。 そして、その外壁ラインによって規定されるフロアが4層分積み重なるボリュームによって成立する建物なのではないか。

想定したこのボリュームの中に上記オーナー住戸を組み込み、残余のスペースに賃貸住戸を3件レイアウトするとしたらどうなるか。
例えば北側接道敷地の場合、下図の様な構成が考えられる。

 

一階平面図   

二階平面図   

三階平面図

四階平面図   

賃貸想定住戸については、建設時期における平準的なプランに拠ってみた。 つまり、南面に個室を二部屋とり、中央に共用室(ダイニングルーム)。 そして北側に水廻りを固めるという形式。
一階部分は正面をピロティとし、入居者の駐輪スペースかオーナーの駐車場にあてがうことを想定した。 しかし、オーナーが自営業だとするならば、自身のオフィスや店舗を構えるスペースとして活用することも考えられよう。

ここに提示した推察においては、便宜的に単純に同一プランを積層させてみた。 しかしこうではなく、全ての住戸がメゾネット形式で複雑に絡みながら構成されていたとするならば、それはそれで面白い。



2014.03.29/記