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間取り逍遥
集合住宅.07:軸線と周回の併置

物件データ

構造:
RC造14F

築年月:
2007年11月

総戸数:
52戸

専有面積:
83.31平米

バルコニー面積:
15.80平米

平面図

一見、凡庸なプランに見えるが、南西の角に全ての水廻りが集約されているところが特殊だ。 この配置により、浴室への窓の設置が可能になっている。 そして、浴室から洗面室、ウォークスルークロゼット(以下、WTC)を介して寝室までが一つの軸線上に繋がっている。 この動線計画は使い勝手上、とても有意であろう。 更に、このWTCの存在により、主寝室−WTC−洗面室−リビング−廊下という周回動線が形成されている。

中和室は、リビングに面した部分が全て襖となっている。 従って、全面開放することで、リビングとの一体使用が可能だ。
それと同時に、廊下側にも出入り口が確保されているため、ここでも、リビング−和室−廊下を周回する動線が確保されている。 別項の物件No.1に勝るとも劣らぬダブルサーキュレーションプランニング。
この周回動線は、利便性という機能面のみならず、同じ面積でも感覚的に空間の広がりをもたらすメリットがある。

この他にも、主寝室と外部共用廊下のバッファーゾーンとしてのアルコーブの設置や、キッチンからバルコニーに直接出入り可能な動線の確保等、特に広いとはいえない住戸面積の中に、よく練られたプランを実現している。

敢えて欠点を挙げるとすれば、リビングが少々狭いこと。
元データの表記では13.7畳となっているが、それは、キッチン手前の洗面室に至る通路状部分も含めての広さであり、正味は少ない。
しかも、限られた面積のリビングダイニングルームの場合、その形状は正方形よりも長方形のほうが家具のレイアウトを行いやすい。 この事例では、正方形に近い上に、対面キッチンの位置関係もあり、例えばソファと食卓をレイアウトするには少し苦労することになるかもしれない。
その分、寝室に余裕があるというトレードオフの関係ではあるが。



2010.06.12/記