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間取り逍遥
集合住宅.02-2:ビューバス

物件データ

構造:
SRC造11F

築年月:
1985年3月

総戸数:
152戸

専有面積:
60.89平米

バルコニー面積:
8.26平米


平面図

物件No.2として提示したプランのバリエーションとも言えそうな間取りを載せた広告を見つけた。 リビングダイニングを分割し、その南側を和室としたプランだ。
こちらを便宜上、物件No.2-2とする。

物件No.2のプランについては、少々気になる点があった。
一つは、ビューバスを実現するためとはいえ、そのために不整形となったリビングダイニングの形状。 両者が相殺され得る関係とはいえ、特定された顧客ではなく、不特定なマーケットを相手とする分譲集合住宅においては、冒険と言えば冒険であろう。 そんな冒険をしなくても、北側の隅に配置された水廻り部分をもう少し南側に拡張して洗面と浴室を組み込めば、もっと素直な間取りになった筈だ。
そしてもう一つは、北側の4畳半の和室に設けられている押入れ。 内部で分割され、一方がリビングダイニング側を向いている。 リビングダイニングにはもう一つ、南側6畳間の和室の押入れに隣接する形で、半畳の大きさの物入れが設けられている。 この物入れがあるのに、わざわざ北側の和室の押入れを分割してまで、もう一つの物入れを設けたのはなぜか。

この疑問を解消してくれたのが、この物件No.2-2だ。
一見唐突に見えた浴室と洗面室の配置も、南側の4畳半の和室の存在で違和感が解消する。 更に、これらが南側に配置される二つの和室の間に入ることで、双方の部屋のプライバシー性を高める効果が期待できることになる。 ちょうど、南北の和室の間に二重に押入れを設けてプライバシー性を高めているのと同じように、である。
そして、南側の4畳半の和室には収納が無い。 スペース的な制約もあるが、それ以上に、ダイニングに連続するお茶の間的な使われ方を想定してのことだろう。 しかし、それであっても少々不便ではある。 それを補完するために、ダイニングルームに面して収納が二箇所確保されたと考えられよう。

このようなことを考えると、むしろこちらの方が竣工当時のオリジナルの間取りである可能性が出てくる。 勿論、中古住宅のオリジナルを追求することが、このページの趣旨ではない。 どちらのプランにしても、いわゆる「マンション田の字」型とは異なる魅力が、その狭小な矩形の中に実現されていることに変わりは無い。



2009.04.18/記