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間取り逍遥
集合住宅.02:ビューバス

物件データ

構造:
SRC造11F

築年月:
1985年3月

総戸数:
152戸

専有面積:
60.89平米

バルコニー面積:
8.26平米


平面図

こんにちの平準的な集合住宅における典型的な間取りの欠点として、玄関が暗いこと、そして浴室に窓が無いことが挙げられる。 外気に面する壁面が制約される板状箱型片廊下形式の集合住宅の場合、居室への採光の確保が優先されるため、それ以外の水廻りや玄関といった非居室部分は、どうしても窓の無い空間になってしまう。 そのため、大きな開口部をとって豊かな採光と眺望を確保した浴室のことを、業界では「ビューバス」という奇妙な造語で表現し、商品企画上の差別化アイテムとしてプランに組み込む場合がある。

その点において、この間取りは先進的だ。 1985年という段階で、この「ビューバス」を、決して広くは無い住戸面積の中に実現させたことは注目出来る。
むしろ、そのことを最優先してプランニングされたという印象すらある。 結果として隣接するリビングルームの形状にしわ寄せが生じている。 しかし、この浴室で享受出来るであろう快適性は、そんなデメリットを相殺するに十分だ。

間取りは、この南面浴室と玄関を繋ぐ縦軸を境に左右で公私を分割した構造を成す。 2LDKという構成は、住戸面積からすれば、いかしかたのないところ。 しかし、二人、ないしは独身という暮らしの形態が増加しつつある昨今においては、逆に適切な規模なのかもしれない。



2009.02.09/記