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間取り逍遥
戸建住宅.17:2リビングまたは2ダイニング

物件データ

構造:
木造

築年月:
1985年8月

敷地面積:
198.60平米
延床面積:
147.22平米

この間取りを中古住宅販売のウェブサイトに掲載されたサムネイル表示のリスト中に見つけた時は二つの点で驚いた。 一つは、ミサワホームが1980年に発表した名作、M型2リビングのあからさまな模倣ではないかということ。 そしてもう一つは、当該モデルの平面プランに対してこの様な空間操作もあり得るのかということ。


一階平面図

二階平面図

興味が湧いたので詳細ページを開いて確かめてみると、実は同社施工の中古住宅。 つまり、M型2リビングをベースに施主の好みに合わせて間取りの改変を試みた事例という訳だ。
具体的な操作の内容は、オリジナルの特徴であるところの余暇室と名付けられたフォーマルなリビングと、LDKをワンルームに納めたファミリールームを互いに独立させて並置する枠組みを崩し、現実的な生活様態に整合させたといったもの。 結果として作り出された一階部分のL字型の居室空間の扱いが面白い。 ここでは、南東の6畳間をどの様に扱うかによって、2リビングという構成と2ダイニングという構成の併用が期待出来る。 即ち、南西の10畳間を余暇室として用い、南東の6畳間をキッチンやその手前のコーナーサッシ廻りのダイニングスペースと一体に扱う日常のリビングと位置付ける考え方。 オリジナルの様に厳格に独立させるのではなく、双方を両引き分け戸を介して連携させることで空間の広がりや使用方法を融通性が確保される。 一方、南東の6畳間をキッチン手前のダイニングコーナーとは別にフォーマルなダイニングとして扱う2ダイニングの設定も考えられる。 この場合、隣接する10畳の余暇室と6畳のダイニングの関係性がより強化されることとなる。

二階は、オリジナルの骨格をほぼ踏襲。 但し、玄関直上に吹抜けを設け、あるいはクロゼットをよりきめ細かく設定するといった配慮が見受けられる。

もしも私がこのプランに手を加えるとしたら、一階のキッチンと洗面室を直接往来する短絡経路を設けることになる。 キッチンセットをダイニング側に向かう対面形式とし、洗面室内のレイアウトを少々調整することで、双方を間仕切りる壁部分に建具を取り付けることが可能だ。



2017.06.10/記