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戸建住宅.16:ハーフモジュールの家

物件データ

構造:
木造

築年月:
2005年1月

敷地面積:
120.90平米

延床面積:
104.15平米

二階にLDKを配置し、下階に個室を並べる間取り。 そして南面の中央に中庭を設け、そこに開口を集中させていることから、旗竿形状の敷地である可能性が見えてくる。 恐らく、北東角に設けられた玄関正面に路地状の敷地が伸び、公道に接続。 そこを除く四周は隣地に囲まれているのであろう。

プランを見ると、尺をmm単位に置き換えた910mmモジュールではなく、その半分の455mmモジュールが随所に用いられていることが判る。 例えば一階では、中庭に面した廊下部分の幅は、通常であれば910mmとすることろをを455mm増やして余裕を持たせている。 あるいは中庭左手居室の短辺方向の寸法も、本来ならば910mmの倍数である2730mmか3640mmに設定するところを、その中間の3185mm。 つまり2730mmに455mmを足した寸法だ。


二階平面図:

一階平面図:

二階の和室も、長辺短辺それぞれ455mm増やすことで、6帖の畳床の周囲に板畳が張り巡らされ、室内に余裕が生まれている。 そしてそのために、直下の居室のウォークインクロゼット(以下、W.in.C)に対し、和室のW.in.Cは間仕切り位置が455mm北側にずれている。
階段部分も、455mmモジュールを巧く組み込むことで、段数を処理していることが判る。

この455mmモジュールの積極的な導入理由は判らぬ。 限られた、そして厳しい敷地条件の中で、可能なボリュームの確保と諸室の面積調整を行うには910mmモジュールでは粗いという設計者の判断であったのだろうか。
結果として、この家には普通の収納は一つとして存在しない。 全てW.in.Cの形態をとる。 ここにも455mmモジュールが用いられている。
更に、階段下の収納を除き、いずれのW.in.Cにも小窓が設けられ、通風と採光を確保。 これも、設計者の拘りであったのかもしれぬ。



2016.11.26/記