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間取り逍遥
戸建住宅.15:動線計画と収納の妙

物件データ

構造:
木造

築年月:
2013年

敷地面積:
254.73平米

延床面積:
157.23平米

玄関前に風除室が設けられているのは、この物件の所在地が北海道であるため。 動線上、冬季において最も冷気が流入しやすい玄関を二重にすることで、室内の温熱環境を守るこの形式は、当地では極々普通に見受けられる。

その風除室を介し玄関から屋内に入ると、土間が奥へ奥へと連続する。 これも厳冬期の暮らしを意識したものであろうか。 除雪のために必要な道具を置いたり、雪で濡れた衣服や靴を乾かしたり・・・。
否、冬だけではあるまい。 他の季節においても、室内に直接持ち込みたくないものを一旦置いておくバッファーゾーンとして、こういった空間は重宝だ。
と同時に、この奥行きのある玄関によって、屋内の動線を明確に二つに分離している。 一つは、玄関側手前を起点としたルート。つまり、リビングからダイニング、そしてキッチンに到る動線。 もう一つが、奥の方から、納戸を介してキッチンに到る動線。
裏動線と位置づけられる後者の経路上において、玄関廻りにふんだんに設けられた収納やキッチンに到る途上の大型の納戸の存在は、日常生活においてとっても有用であろう。
また、この裏動線により、いわゆるリビング階段形式ながらもリビングが主要動線として落ち着きの無い空間となる懸念を低減している。


二階平面図:

一階平面図:

更に、この階段の位置にはしっかりとした意味がある。
一つは家事動線。 一階のキッチンと二階のサニタリー廻りの連繋を考えると、昇降を伴う動線ながらも効率的な経路設定となっている。 もう一つは、上下階の多目的スペースの連繋。 つまり、一階ではリビングとダイニングの間に設けられ、双方を軽く分割しつつ連続性にも配慮したスタディコーナー的なスペース。 そして二階は中央の和室。 これらを有機的に繋ぐ動線としても、この階段位置は有効だ。 直進階段ながらも途中に踊り場が設けられているのは、これらの連繋における昇降の頻度を配慮した結果なのかもしれぬ。

二階和室は、あえて普通の押入れではなくウォークインクロゼット形式としている。 その内部は、布団の収納を想定していると思われる棚も配備されているが、単にそれに留まらぬ様々な収納物への対応が配慮されており、この部屋の多目的性を高めている。
向かって右手の個室に付属するウォークスルークロゼットの扱いも面白い。

外観は、総二階を基本としながらもオーバーハングを多用することで変化を付けている様だ。 また、上下階の窓の位置もなるべく一致させることで、外観が雑多な印象とならぬよう配慮されている。



2016.04.09/記