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戸建住宅.13:普通の中の細かな配慮

物件データ

構造:
木造

築年月:
1994年

敷地面積:
192.96平米

延床面積:
104.54平米

奇をてらわぬ普通の間取り事例ということで挙げてみた。
玄関や勝手口の位置から、恐らくは北東または北西に接道する敷地条件なのであろう。 その接道条件を活かし、居室を全て南面に配置。 北側は水まわり等の非居室で固めている。
玄関の左側の建物部分が欠き込まれているのは、駐車スペースにあてがわれているためであろうか。

玄関から屋内に入ると、吹抜けと階段を組み合わせた垂直方向への空間的な広がりが演出されている。 下足入れ脇には半間幅の物入れを設置。 こういった箇所に下足入れとは別に計画された収納は結構重宝する。


二階平面図:

一階平面図:

玄関正面には、和室とリビングに至る扉が並ぶ。 和室には床の間が無いが、押入れを吊り形式とし、下部を板の間とすることで、それらしき設えも可能な配慮がなされている様だ。 その和室とリビングダイニングは続き間となっているので面積の割りに余裕が感じられよう。
ダイニングスペースの奥にはキッチンが接続。 このキッチンは、洗面室を介して玄関からのアクセスも可能だし、別途勝手口も設けられている。 複数の動線が無理なく計画されており、好感が持てる。

二階は、吹抜けを巡るように矩折りに設けられた廊下を介して三つの個室が整形に並ぶ。 北面からの柔らかな光が注ぐ吹抜けを巡る、ないしは階段を昇降するという行為は、ささやかながらも豊かな日常空間体験となり得よう。
両方の階を通して収納が少なめなプランである分、和室には押入れを多く確保している。 トイレの位置が、下階の居室直上ではなく水廻りの位置に計画されているのも良い。

外観についても考えてみたい。
二階北側は恐らく南面居室部分の屋根をそのまま葺き降ろした勾配屋根となっており、道路側から眺めた際に動的な変化に富んだボリュームを作り出しているのであろう。 と同時に、上下階双方の窓の位置が極力一致するように計画されており、整った外観となっていることが期待される。



2015.08.22/記