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戸建住宅.09:ハレとケの積層

物件データ

構造:
木造

築年:
1979年

敷地面積:
319.24平米

延床面積:
176.79平米

一階は、和室の続き間、縁側、中廊下、独立した洋間等々、どちらかというと古風なアイテムによって構成されている。
続き間のうち、向かって右側の方は茶の間を想定した部屋であろうか。 その和室から完全に独立して設けられている台所は、とても広い。 元の住人は余程の料理好きだったのであろうか。 それとも、宴席の機会が多かったのだろうか。 あるいは、この家が三世帯同居を想定していたとするならば、複数の者が揃って調理をすることを鑑みた上で設定された広さであったのかもしれない。
もう一つの和室は、床の間をしつらえたフォーマルなもの。 接客空間としての座敷か、それとも家長の日常の居場所か。 あるいは、ここでも三世帯同居を想定するとするならば、老夫婦の居室であったのかもしれない。 中廊下を挟んですぐ北側に納戸が配置されているのも、持ち物が多いであろう老夫婦が私用することを想定したものと読み取ることも出来よう。
玄関に入って正面の北側の独立した洋間は、書斎件応接間であろうか。
各室の用途については、様々なイメージがふくらむが、接客性という観点で読み解くと、いずれもハレの空間としての想定が明瞭な構成となっている。


二階平面図:

一階平面図:

対して二階は個室が四つ、ほぼ対称形にならぶ。
例えば夫婦と子二人のための空間構成だとするならば、中央の洋室二つが子供部屋、両脇が夫と妻のそれぞれの部屋ということになろうか。 それぞれの和室に至るには前室を通る必要があり、プライバシー性が高められている。

団欒やハレの場の設え等、古風な空間構成が読み取れる一階に対し、個室の独立性を重要視したケの空間としての二階。
上下階でパブリックとプライベートを分ける手法は珍しいものでは無いけれど、その対比がよく顕れた事例としてこの場に挙げてみた。



2013.09.21/記