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戸建住宅.08:鰻の寝床

物件データ

構造:
木造+鉄骨造

築年:
2007年9月

敷地面積:
63.28平米

延床面積:
87.82平米

間口一間半。
建売の戸建住宅においては、恐らくこの間口が商品価値としては限界なのではないか。 間口に対して比較的奥行き方向に余裕があるため、間取りは何とか成立している。


三階平面図:

二階平面図:

一階平面図:

一階の玄関前面の駐車スペースは、二,三階部分が大きくオーバーハングして、その頭上を覆っている。 柱や壁による支持も無く作り出されたピロティ空間は、工夫によっては面白い外観デザインが可能であろう。
玄関を入ると、すぐに階段。そしてその奥に水廻りが配置されている。 浴室は一坪以上のスペースがあり、余裕がある。 三階建てながら一階のみに唯一設けられたトイレが洗面室と一体というのは少々不便かも知れぬ。
洗濯機置場が不明だが、恐らく階段下のスペースがそれなのであろう。

二階に昇ると、建物の特徴そのままに、本当に細長いリビングダイニングキッチンが視界に入ってくる。
南側壁面の連窓は、ハイサイドライトであろう。 キッチン廻りの外壁を台形の出窓としているが、恐らく北側隣地建物が殆ど離隔無しに建てられている状態で、どの程度の採光が見込めるのか。 あるいは、隣接する既存建物形状から、この位置は開口が大きく穿てる場所であったのだろうか。

三階の居室は、例えば二階西側の居室のように、階段室を背にして収納を設けても良さそうだが、そういった配慮は無し。
これは、北側斜線の影響で、どちらの居室とも北側の壁面が大きく傾斜しているためであろう。 場合によっては、床レベルギリギリの高さから斜線なりに傾く急勾配の片流れ屋根の下に設けられた屋根裏的な部屋なのかもしれぬ。 東西それぞれの外壁に南側に偏って取り付く幅の狭い開口部からも、そのことが説明できそうだ。 居室としての使い勝手には、少々制約があろう。
そんなタイトな構成の中で、東面のルーフテラスはとても貴重な存在である筈だ。 広告に掲載されている地図を見ると、敷地の東側は緑道に接している。 歩行者専用のその道路沿いに整備されているであろう街路樹の連なりを借景として取り込むことで、狭小ながらも結構豊かな日々を過ごすことが可能なのかもしれない。



2012.08.25/記