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間取り逍遥
戸建住宅.07:階段中心軸型

物件データ

構造:
木造2F(2×4工法)

築年:
2010年6月

敷地面積:
104.07平米

延床面積:
105.65平米
中古ではなく新築の物件。
近年の傾向を反映して、個室が多い割りに和室が一室も無い。 二階に四室を確保しているのは、この規模では珍しい。

一階平面図:

二階平面図:

骨格としては、戸建物件No.02を髣髴とさせる。
階段を中心に据え、そこを基本軸に諸室が配置されている。

一階は、いわゆるリビング階段の形式となる。 家族間のコミュニケーションを促進する目的で、家族の共用室である居間に階段を持ち込むというのが、このプラン形式の意義を説く際の外套句だ。 その効用の程は定かではない。 むしろ、リビング内における階段の配置の如何によっては、動線が錯綜する落ち着きの無い空間になってしまうリスクも考えねばなるまい。
この物件の場合、階段廻りに周回動線が成立している。 つまり、リビング→ダイニングキッチン→洗面所→玄関ホールという流れだ。 このことが、動線の錯綜を緩和している。 例えば接客中の場合等、リビング内を通りにくい時は、洗面所を介してダイニングキッチンを通って階段に至るという動線の選択が可能。 逆に、ダイニングキッチンを通りにくい時は、リビング側を通ればよい。
また、この階段の配置によって、一体の空間であるリビングとダイニングキッチンが柔らかく間仕切られている。 お互いの気配を感じつつ、ある程度の独立性も確保されるという意味で、この階段の配置とリビングダイニングキッチンの位置関係は絶妙だ。 階段部分に施された二重の垂れ壁(平面図の破線部分)も、その機能を補完する。
二階は、階段を水平軸に、ほぼ対称形に四部屋をレイアウト。 北西の一室を除いた他の部屋はいずれも6畳以上の広さが確保され、且つ収納もある程度考慮されている。
トイレが、一階の位置とほぼ一致していることにも好感が持てる。 この程度の規模の住宅の場合、突拍子も無い位置、例えば居室の真上にトイレが配置されてしまう事例が散見されるが、あまり好ましいとは思えない。
階段廻りのコの字型の廊下は、建物の規模からすれば少々非効率的に見えなくも無い。 しかし、階段を含めたホールとしての構成は少し面白そう。 更には、僅かながらも二階の各室に距離感と独立性を与えているのではないだろうか。

とりたてて個性的という訳ではないが、好感が持てる間取りだ。



2011.09.17/記