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住宅メーカーの住宅
中央コア型の極意:ミサワホームA型2階建て
1.概要

比較的若い世代をターゲットに商品開発されたモデルである。
従って、都心居住を想定した狭小敷地への対応と、慣習にとらわれない自由な発想による空間構成が提案された。


写真1:外観*

       
2.中央コア形式
※1

概念図1:

このモデルの特徴の一つに、居室以外に住宅に必要な要素が全て中央の列に「コア」としてまとめられていることが挙げられる。 更に、概念図1※1の様に「居室外=コア」と「居室=コア外」に区分けされる図式が完璧に成立する徹底したプランの整合性も見い出すことが出来る。
実際に諸室をコアと非コアに振り分けると、左表※2の様になる。


図面1:各階平面図*(A33-2W-Cタイプ)

この「中央コア型」とでも言うべき形式は、コアを規定してしまえば、その左右に接続する部屋の大きさや形は任意に設定できる自由度の高さがある。 また、コアに水廻りを集中させることで、設備機器系統の効率化を図れるメリットもある。 更には、動線が集約されることで、延べ床面積に対して比較的広い居室を確保することも可能になる。


※2
1階
コア
・玄関
・ホール
・キッチン
・階段
・トイレ
コア外
・リビング
・ダイニング
・和室
2階
コア   
・階段
・廊下
・洗面室
・浴室
・吹抜け
コア外 ・寝室


3.自由な発想に拠る斬新なプラン

建物中央のコア部分は居室部分よりも南北にそれぞれ突出し、その上部にトップライトを設けている。 このプランの特徴が、外観デザインにも活かされている(写真1参照)。
コア部分の出っ張りと妻面2階部分に設けられた出窓によって、変化のある彫刻的な外観が形成されており、総二階建ての住宅に生じがちな単調さは無い。

北側の突出部分は、玄関の吹抜けに充てられている。 この吹抜けには2階に設けられた浴室も面していて、更にこの浴室は吹抜けに向かって大きな窓が設けられている。
つまり、吹抜けを介してトップライト越しに外部を眺望すことが可能なのである。(写真2※4,概念図2)

※4


写真2*


概念図2

南側突出部は、リビングと直接繋がる階段が配置されている。 自然光が燦々と降り注ぐ階段室は、日常の昇降を楽しくすることであろう。 更に、仮に南側に余裕がない敷地に建てた場合でも、リビングには階段を介してトップライトからの採光が期待出来るというメリットもある。


4.都市型住居の実際
※5
図面2:配置図の例*
A型二階建ては、例えば6間×6間(約11m角)の36坪の敷地でも無理なくプランを納めつつ纏まった広さの居室と庭の確保を可能としている(図面2)※5。 その意味では狭小敷地への適用性の高いプランといえる。
しかしながら、都心に造成される狭小敷地は、このような正方形ではなく、間口が狭く奥行きが深い短冊型が殆どである。 従って、このモデルが都市型住宅プランの一般解という地位を獲得するには至っていないのが現状といえよう。
より細分化された狭小な敷地に三階建て四階建てとフロアを積層させていびつに屹立しつつ周密に寄り添う昨今の過剰な都心型戸建住宅の形式の前には、80年代のまだ恵まれていた時代の都心居住の在り方を示すモデルと位置づけられることになろうか。


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*:引用した図版の出典:ミサワホーム

2006.07.08/記
2007.01.20/レイアウト変更
2007.09.20/概念図.1追加
2013.10.20/写真2追加,構成調整