日本の佇まい
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住まいの履歴
8番目の家:1995年5月〜1997年11月

概念図

七番目の家を退去後、浦安市内に建つワンルームマンションに住むこととなった。
前の二件が新築であったのに対し、こちらは中古。 但し築年は1990年だから。住み始めた時にはそんなに古い建物という訳では無かった。
居室はカーペット敷き。 水廻りは三点ユニット。 キッチンは廊下部分に面するパターン。
大規模商業施設に近く、立地条件はとっても良かったけれど、その分環境騒音は七番目の家の様な訳にはいかなかった。 その辺りはトレードオフの関係ではある。

八番目の家については、それ以前の二件の家と同様の普通のワンルームマンションであったということ以外に特に書くことも無い。 強いて述べるなら、三点ユニットの床面と居室の床レベルの段差が大きかったこと。
六番目の家は、建具下端に止水のための立ち上がりはあったものの、居室の床面レベルと同一であった。 七番目の家は、ユニットバスの方が少しだけレベルが上がっていた。 八番目の家は更に段差が大きい。 この違いは、ユニットバス直下の排水経路と界床スラブのレベル設定から生じるものだ。

しかし、こういった段差というのは慣れるまでの間、少しクセ者である。 居室内での行為というのは意外と無意識に行われるものだ。
六番目の家では、そこに段差が無いことが当たり前だったから、建具下端の立ち上がりのみを無意識のうちに注意した上でユニットバスを出入りしていた。 だから、七番目の家に入居して間もない頃は、微妙な段差に違和感を覚えたし、あるいはよろめいてしまうこともあった。 それでも暫く経つと慣れてしまい、それを当然のこととして意識せずに行動出来るようになる。 しかし八番目の家に転居すると、また同じ体験を繰り返すこととなる。
類似した居住形態における微妙な差異が、室内での識閾下の身体行為に及ぼす影響。 三件のワンルームマンションでの生活を通して、そんなことを考えさせされた。

さて、八番目の家に関しては、それ自体の居住環境よりも浦安という街自体がとても興味深く、結構その場所が気に入ることとなった。
未だ更地ばかりが荒涼と広がっていた海辺の埋立地。 そこに、あたかもシムシティの画面を眺めているが如く続々とマンションや商業施設が建設され更地を埋め尽くして行く様相をリアルタイムに観察することが出来た。 更には、東京駅から快速電車で二十分弱という立地ながら海を身近に感じられるという、なかなかに得がたいロケーション。
そんなエリアがある一方、少し内陸部に歩を向ければ昔ながらの漁村の風景を色濃く留めたエリアが残る。
人ひとり通るのさえやっとの狭隘な路地が迷路状に広がる状況と、近代都市計画学の成果がそのまま反映されたが如き埋立地という異相のあからさまな並置。 そんなあわいの散策を存分に愉しみ、あるいは色々と考えるきっかけとなる、そんな二年半であった。



2016.08.27/記