日本の佇まい
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住まいの履歴
5番目の家:1987年4月〜1991年3月

概念図
※1

階段部分の様子
廻り込むところまでが1階と同じ暗めの木調の壁仕上げ。 途中から2階部分の白色の壁と切り替わる。
この壁面仕上材の明暗も、空間のメリハリを補完した。

この期間、札幌市の祖父母の家に住んでいた。
私は二階の西側の部屋を使用。

二階に至る階段は、180度グルリと回りながら昇るようになっている(写真1)※1。 しかも急勾配の天井が頭上に迫り、身をかがめないと頭を擦ってしまう。 更には、北向きの小窓が一つあるのみ。
しかし、このことがかえって空間に精神的なメリハリを与えていたように思う。 狭くて暗くて急な階段を昇ると、障子を透過した柔らかい陽光に満たされた部屋に至るという構成は、なかなか心地良い空間体験であった。

その二階の部屋は、四畳半のたたみ敷きと一畳半を少し欠ける板の間が付いていた。
屋根形状の関係から天井高さは2.1m程度と、一般的な居室よりも随分低い。 しかしながら、物事を考えるには調度良い広さと高さであった。

住まいには、広くて隅々まで明るいことが一般的に求められる傾向にある。 そして、暗いとか狭いとか低いといったことは禁忌されがちだ。 しかしそのような要素をプランの中に巧く取り入れることで、空間や日常生活をより豊かにすることが出来るのではないだろうか。
そんなことを考えさせられ、また体感することが出来る家であったが、老朽化のために90年代半ばに取り壊された。



2007.08.25/記