壁面に張り付く鋼製ダクトが燻し銀に輝く。
開口部を避け、あるいはそれぞれの経路の干渉を避けるためにところどころでオフセットしながら排気を開放可能な屋上に向かってひたすら上昇する複数のダクトが織りなす様態は、どこか蔦性植物の成長過程を連想させる。
とはいえ、それは壁面緑化の情緒とは程遠い冷たく乾いた人工物の配列。
当該建物と隣地境界の僅かな空隙という条件下において、側面のほぼ全面に形成されたタイトな意匠だ。

構造体の表層に設備のレイヤが重なることで形作られた側面が、隣接建物の除却で露わになった。