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建築の側面
山陽物件02:三階下白雨之絵図
規模:3階建て

用途:店舗+住宅

写真1:外観

写真2:側面全景

窓が一切無い一階及び二階部分の閉鎖的な表情と、後に幾度かに分けて増築されたのであろう三階部分の対比が特徴の側面。 三階部分に掃出しを含む開口が複数付くのは、この側面の前面に隣接してかつて存在していた建物が二階建てであったためと思われる。

しかし、これらのことは側面物件として当該ページに載せるだけの要素とはなり得ぬ。
注目したいのは、二階部分に矩形に張りつく小波鋼板。 その表面の大部分が発錆し、その錆汁が下部に滴り落ちて壁面に付着している。 付着した錆汁は幾本もの縦筋となっているが、その筋の間隔は上部鋼板の波形と揃っている。 また、錆汁の付着位置がマチマチで、筋の集合体は高さ方向に乱れたウェーブを描く。
更に白色のシールで補修されたモルタル面のクラックが、描かれたウェーブを貫いて小波鋼板の下端から地上に向けて縦方向に何本か走る。

ここで、錆びた小波鋼板を矩形に置換された積乱雲。 錆汁が描くウェーブを雲から降下する雨。 クラックを稲光と見立てるならば、これらの経年現象は地上を夕立が襲う直前を描いたかの如くだ。
ということで、葛飾北斎の富嶽三十六景「山下白雨」の建築的置換状態として、この側面を見立ててみた。 下界の苛烈な気象状況など意に介することなく泰然とそびえる富士の如く、下階に生じた経年現象が描く気象的状況と無関係に存在する天空の城の如き三階増築部分。
「三階下白雨」だ。



2015.08.08/記