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建築の側面
新潟県物件No.07:五種の要素の混成
規模:2階建て

用途:住宅

写真1:外観

写真2:

主に五つの要素が見て取れる。

一点目は仕上げに用いている鋼板の張り方。
写真手前に隣接していた建物の除却痕部分は、横張り。 その上部のこの建物自体の壁面部は竪張りと、厳格に張り方が分けられている。

二点目はその色彩。
除却痕部分は、下層を焦げ茶色で統一しつつ、上部には明るめの多様な色を散りばめて表情を作り出している。 その除却痕の更に上部は、明るい茶のみで統一しかけつつ左端に青色系統の板を配置することでアクセントを付けている。

三点目は、素材。
基本的に小波鋼板を使用しつつ、一部に同じ小波ながらも塩ビ製のものを用いて、これもアクセントとしている。

そして四点目。
上記の基本構成要素の中に無秩序に塗り込められた防錆塗装。 その赤茶けた色彩の乱舞が表情に変化を生む。

最後の五点目。
それは、建物中央のくびれ部分を介してこの表情豊かな側面の左手に連なるプレーンな壁面との対比。 除却された隣の建物との接し方の違いが、この異なる様態を生成させたのであろう。

かようにして狭隘な面積の内に様々な要素を混在させたこの側面は線路敷に近接し、駅に停車するために減速中の列車の車窓からもその魅力を瞬時に視認し得た。 駅到着後、即この側面物件を目指したことは言うまでも無い。

上記以外にも、例えばこれは撮影時期とも絡むが、概ね茶系で纏められた鋼板とその前面に繁る植物の緑との対比も、この側面の風景を形成する要素として挙げられよう。 晩夏の日差しの下、双方の色彩のコントラストが側壁に彩りを添えている。
冬の時期に訪ねれば、ここに掲げた写真とは全く異なる豪雪地帯として名高いこの地ならではの風景が確認出来るのであろう。 つまり白一色の雪と鉛色の冬空というモノトーンの世界の中に鮮やかに浮かぶ多様な色彩という対比だ。



2015.01.10/記